第7話
雲行きはどんどん怪しくなって、遠くの空はどんどん暗くなって、次第に激しい雨が降り始めた。雷をともなう激しい雨だった。老いた母は呆然として、手塩にかけた息子、それまで挫折らしい挫折をしたことのない息子が、離婚に追い込まれるのを知ったが、遠い東京で何があったとしても、原則として母は介入しなかった。
母が若い二人の家庭に口を出さないのは、自分が若い頃、姑に口を出されて嫌で嫌で仕方がなかったからだ。姑は癖のある人物で、その嫁4人(うち1人は離婚して戦線離脱)は苦労させられ続けた。それは、私が子どもの頃から聞かされてきた片方からだけの話だった。
それはともかく、結婚して2年かそこらで、弟夫婦は別居し、妻が荷物をまとめて下の子を連れて出て行った。上の子は弟の手元に残された。二人とも女の子だったが、妻は下の子ばかりを猫可愛がりして、絶対に手放そうとしないが、上の子に対する態度は違った。
「この子は、あんたが面倒見てよ。私は要らないから、あんたにやるわ」
ある日、妻は娘の前でこう言い放った。
でも、その時、すでに上の女児には感情がなかったみたいだ。
妻は、上の子は可愛くないし、言うことを聞かないし、要らないと置いていった。
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