第4話
仲の悪い姉と弟で、弟が大学進学を機に上京してからは年に数回、顔をあわせるかあわせないかという接点だった。だからトラブルが勃発しにくかったのだが、ここへきて急に雲行きが怪しくなってきた。
弟が結婚をする、相手の女性も専門職として働いている女性だと私に教えてくれたのは、父であった記憶がある。母はずっと知っていたはずだが、家の中で口に出さなかった。私がどうこういうより、その嫁が気に入らなかったらしい。主婦は世間が狭いので、自分とは違う生き方をする女性を見ると、<息子をとられた>という本音を押し隠しても、どうしても反発心が出てくるものらしい。
弟はあまりにも女っけがないのでホモじゃないかと、陰で皆で笑いあっていた時期が長かったことを思うと、一体どうやって彼女を作って恋愛結婚までこぎつけたのか、あのコミュ障が…と思ったが、嫁は弟の勤務先の心理カウンセラーだった。10000人以上の社員を数える大企業だったのだが、その10000人の社員の中で「最も社内で働いている時間が長い社員」だった弟を見て、上司が心理カウンセラーのところへ行け、と命令をしたらしい。弟は定期的にカウンセリングへ通うようになった。
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