第29話

家から10メートルくらい離れた場所にパトカーが停車していた。でも中の人は見えなかった。警官らしき人の姿も闇に隠れて見えなかった。「?」あのパトカーは何をしているのだろうか?ちょっと離れたところから、わが家の様子をうかがっているのだろうか?だれかが電話して、大声でわめいている声が聞こえるというのでパトカーが駆けつけてみたけど、あたりは静まり返っているので、介入の機を逃したように見えた。私はそっと家の中に帰って、2階に上がってカーテンを開けて窓の外を見た。まだパトカーは停車していた。でも10分もしないうちにいつの間にか消えていた。

弟と姪っ子も戸をぴったり締めて、家の中は静まり返っていた。非常に気まずい沈黙だった。母は完全に弟と姪っ子の側だった。

そんなことがあってから、今回姪っ子が家出をして、警察に電話をして相談をするのもトラウマになった。日が暮れてから、姪っ子は戻ってきた。戻ってこなかったら?警察に言うしかないし、弟もまた帰省してくるだろう。

翌朝、午前8時前に前の日に何ごとも無かったかのように、姪っ子は小学校へ登校した。ちょっと前は、登校をぐずったりしたのだが、この頃は毎朝、集団登校の待ち合わせに遅刻しないようになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る