第25話
姪っ子は気まぐれで、何を考えているのか、よくわからないときがあった。相変わらず私とは一切言葉を交わさず、でも私が徹底的に避けているほど、姪っ子は私のことを意識していなかった。老母は「あの子は上の階に叔母がいるって理解していないじゃないかしら」とも言った。私は家のあちこちにICレコーダーを取り付け、弟が戻ってくる日はICレコーダーが足りないから、1万円以上出してもう1台買ってセットしている毎日だった。姪っ子は絶対に私が通るたびに「キモイ」と言っているのだ。母とは毎日のように大喧嘩になった。
といっても、ほとんど老母が相手をしていたのだが、老母も疲れはてて寝込む日が多くなった。市の発達障害相談支援センターにまだ行っていなかったが、老母は迷っていた。小学校でもいじめは無かったが(担任がよかった)なんだか変わった子扱いされていた。
近所に(私は知らなかったのだが)おばあさんが住んでいて、通学途中の姪っ子に声をかける日があった。老母は「あのおばあさんはあの子が好きなのよ。よく声をかけて話し相手になっているみたいよ」と言った。私はこの家に30年以上住んでいるが、声をかけてくれる親切な人なんかいないので内心驚いた。
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