第23話

弟とは十代のころから不仲であったとはいえ、姪っ子が家にやってきてから、決定的に関係が破綻していた。しかし弟の目から見ると、彼は妻とも関係破綻しているのであり、あれだけ我慢強い人間があちこちで女性と関係が悪化するのはなぜなのだろうと思った。

弟は老母ふたり(実母と妻の母)とはうまくいっていて、妻の母とlineでずっとやりとりしているらしかった。

弟の妻だけが脳がスピンオフして、勝手に下の娘だけ連れて出て行ったような感じだった。妻には付き合っている男性がいるのだろうかと思ったが、彼女自身結婚が遅かったし、仕事は忙しすぎるし、下の娘は小学生で働きながら幼稚園に通わせて世話をしなきゃいけないし、妻は脳腫瘍を抱えているし、片目が見えないしで、言ってくることが無茶苦茶だった。

玄関に置かれた植木鉢の朝顔はぐんぐんツルを伸ばして成長していった。植物が太陽の光に向かって成長していく様子は見ていて気持ちが良かった。

人間関係はどんどん悪化していく時だったから、特にそう感じたのかもしれない。家の中の空気もギクシャクとしていた。姪っ子はまだ小学生だから叔母の私のことが好きになれないのだろうか、それとももともとああいう性格なのだろうか。

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