朝顔の花、咲いた

@9zth7DcB

第1話

弟が離婚しそうだと聞いた時も、結婚すると聞いた時と同様に、何の感情も湧かなかった。だから東京で開くという結婚式にも参加しないことにした。弟の方は、一応あんな姉でも姉だから「一体どうする気なのか?」と母にお伺いをたてたらしい。でも、母は「あんたの姉は頭数に入れなくてもいいわよ」と、弟に言ったので、私は5歳年下の弟の結婚式にも呼ばれなかった。

田舎の山の上にある築40年の古い家に、老いた父母と私が暮らすようになてから、すでに四半世紀が過ぎようとしていた。もともと我が家は父母と私と弟の4人家族だったのだが、弟は東京の大学に合格してからさっさと活動拠点を東京に移してしまって、あまりこちらへは帰ってこなくなった。

「そりゃ戻ってきたくても、仲の悪いあんたがいるもの」と母はあきれ顔で言った。母はいつでも弟の味方で弟に夢中だった。少なくとも私はそう感じていた。長女である私にとって、母は物心ついたときから、ライバルでありお互い決して理解しあえぬ同性だった。

実際、私と弟は仲が悪かった。なぜうまくいかないのか?ごく幼い時から、お互い「いなくなればいいのに」と思いながら狭い家の中で暮らしていたので、本当に相性が悪いのだろう。

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