第23話
ついにやってきました、この日が…。
"庭球!the Stage"観劇日!!!
最速HP先行では外れてしまったものの、
キャスト先行で無事ご用意していただいいて…。
蒼人くんの先行ありがとうございます!!
信じてました…!
当落の日から今日の為に生きてきたといっても過言じゃない…
とは言い切れないけれど…(笑)
この日の為に漫画もアニメも見返したし、
光莉さんにもしっかりと布教済み!!!
そして私だとバレないように、
あくまでナチュラル、だけど気付かれない変装を考えた。
圭斗くんの誘いを断った手前、キャストさん、スタッフさん、お客さん…
絶対に誰にもバレるわけにはいかない。
長く明るい髪はワンデイカラーで黒くして、一つにまとめて中に入れ込みボブ風に。
そして今日は光莉さんの妹とという設定にすることにした。
光莉さんのメイクをまねして少しでも顔が似る様に…!
身長は…もちろん私の方が高いけど、そういう姉妹もいるからね!!
極めつけは…
「璃子~!お待たせ~!」
「あ、お姉ちゃん!」
光莉さんには璃子ちゃんという4つ下の妹がいる。
名前をお借りして、今日は私が"璃子ちゃん"ということだ。
光莉さんには"璃子"と呼んでもらって、
私は光莉さんのことを"お姉ちゃん”と呼ぶことにした。
どっからどう見ても姉妹…のはずだ。
「今日はよろしくお願いしますね!」
光莉さんだけに聞こえるようそう小声で話した。
満面の笑みでのウィンクを飛ばしてくれたのを返事と受け取り、私は光莉さんの妹にてっすることにした。
どこで誰に見られているか分からない。
今回は劇場の最寄り駅集合にしたため、
周りにはそれらしい人たちが既にたくさんいる。
「あっ!」
「ん?どうした?」
私の目に留まったのは庭球に出てくるキャラクターのぬいぐるみストラップだ。
「庭球のぬいぐるみ!かわいい~!」
「なるほどね!舞台にも原作のグッズをつけてくるんだね!」
原作の漫画やアニメが好きで舞台もやるなら行ってみたい!って人もいるし、
好きな俳優さんが出てるから気になって原作を見てみたら好きになった!って人もいる。
好きなキャラクターと一緒に舞台に向かうのも素敵だなあ。
私もグッズ付けてきたかったけど…
万が一私だとバレてしまった場合、
そのキャラクターを演じている俳優さん、
今回の場合蒼人くんに迷惑が掛かりかねない。
原作のそのキャラクターが好きなんだと思う人もいれば、もしかして蒼人くんのこと好きだからそのキャラクターのグッズつけてるの?と思う人もいるだろう。
我慢我慢…。
舞台に行けるだけで幸せなことなんだから。
常に最悪の事態を想定しておかなくてはならない。
私もただ他のファンの子たちみたいに
蒼人くんが好きなだけなのに…
そう思うこともたまにあるけど、
自分のことだけを考えられない。
私が原因で蒼人くんが嫌な思いをするのはもっと嫌だから…。
そんな暗いこと考えている暇はない!
これから庭ステなんだから!
「庭ステ楽しみすぎる~!」
「…庭ステ?」
「あ、庭球 the Stage!略して庭ステってことだよ!」
「なるほど~!そのままだと長いもんね!大体そうやって略称があるわけだね!」
「そうなの!大体公式のSNSがあってハッシュタグとかで略称がついてることが多いから、ファンもその呼び方することが多いんじゃないかな~?」
「ほんとなんでも詳しいんだからね~」
出演している俳優さんたちもその略称で呼んでいることが多いから自然と私たちファンにも浸透する。
「あ、お姉ちゃん!物販行きたいんだけどいい?」
「もちろんいいわよ~!私もせっかくだし記念に何か買おうかな~?」
「終演後にも物販はあるから、公演を見てもし気になったキャストさんとか、
好きになった役の人がいても後からでもグッズが買えるから安心してね!」
「さすがのシステムね」
どの舞台でも終演後にも物販があるわけではないけど、
今回の庭ステは開演前、休憩中、終演後にも物販を行ている。
「ちなみにグッズは何があるの?」
光莉さんにそう聞かれ、スマホで公式サイトにアクセスしてグッズの画面を見せてあげた。
「へぇ~!いろいろあるのね~!
パンレットに、ブロマイド、缶バッジにアクリルスタンド!
ブロマイドは選べるのとランダムとあるのね~!缶バッジとアクリルスタンドはランダムね!」
「2.5次元舞台はランダムのグッズが多いよ~!誰が出るかわくわくするよね!!
推し様が出たときは歓喜のあまり叫びそうになるよ!!」
「叫ぶのはやめてね?…何買うの?」
「とりあえず一通り…」
「ランダムのはいくつ買うの?」
「うーん…」
今回のメインキャストは16人だから、アクリルスタンド、缶バッジは全16種類。
ランダムブロマイドはチームショットやペアショットがあるので全34種類。
ランダム商品は当たり前だけど誰が当たるかわからない為、何個買うか重要になる。
当たるまで何度も買い直したいけど、
何回も人と話す機会を作りたくない。
出来るだけ1回で済ませるようにいつもしている。
いくつ買うか考えた結果、今回はアクリルスタンドと缶バッジは16個ずつ、
ランダムブロマイドは30枚買うことにした。
そのことを光莉さんに伝えると、
「え!?そんなに買うの!?」
…これが普通の人の感覚なのだろうか。
多い時はランダム商品はすべて購入上限まで買うときもある。
もちろんモデル、俳優の仕事は好きでやっていることだけど、
好きなものを買うために働いている訳でもある。
「出なかった時のことを考えて…多めに…ね?」
「あー、そうか~。出ない可能性もあるんだもんね」
一応は光莉さんも理解してくれたようだ。
物販の列に並び、グッズを購入することが出来た。
光莉さんはとりあえずパンフレットを購入したようだ。
開演まではまだ少し時間があり、
私はランダム商品を開封したい衝動に駆られた。
「あ、それどこかで開ける?」
私の持っているグッズを指さしながら、
光莉さんから声をかけてくれた。
「いいの?」
「開けないことには中分からないんでしょ〜?開けるしかないじゃない!」
劇場周辺に小さな公園があったため、そこに移動すると庭ステを観劇するであろう子達が何人かいた。
たまたまベンチがあいたのでそこに座り開封することにした。
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