第22話
注文した料理もあらかた食べ終え、圭斗くんが思い出したように話し始めた。
「そうだ!ここのプリンがめちゃめちゃ美味しいんですけど、食べませんか?」
プリン…!
お腹もだいぶいっぱいになったと思っていたが、
プリンは食べられると確信した。
「是非…!」
私の返事を聞くと圭斗くんはすぐにプリンを2つ頼んでくれた。
「めぐみちゃん、甘いものが好きなんだね~!」
「そうなんです!甘いものに目が無くて!」
「僕の先輩にも甘いものが大好きな人がいますよ!この間もロケでトゥンカロンをたくさん食べてました(笑)」
それって…
「もしかして紀田さんですか?」
「…!そうっすよ!お知り合いでしたか?」
「実はお昼の番組でご一緒になったことがあって…その時にケーキを賭けたクイズがあったので、甘いものは好きですか?って話になったんですよね」
「そうなんだ~!僕ら界隈で甘いものと言えば蒼人くんってくらい甘いもの好きみたいですね~!
僕はめちゃめちゃ好きなわけじゃないですけど、ここのプリンは本当においしいです!まあ、教えてくれたのは蒼人くんですけど(笑)」
ということは、蒼人くんお墨付きのプリンということ…!
更に楽しみになってきた~!
話しているとあっという間で、プリンはすぐに運ばれてきた。
「わぁ~!」
最近流行りのレトロプリン。
早速ティースプーンでひとくち口に運ぶ。
「ん~!」
ほろ苦いカラメルが口の中に広がると、後から卵とミルクの味が追ってくる。
甘すぎず、絶妙にバランス!
思ったよりも固めな食感もくせになる。
「めちゃめちゃ美味しいです!」
「でしょ~!甘いもの大好きな蒼人くんがおすすめするだけありますよねぇ~!」
「ここのお店、今度私も使ってもいいですか?」
「もちろん!気に入ってもらえてよかったです~!」
今度晴稀くんと会うときにこのお店に来よう…
蒼人くんおすすめのプリンだって、
晴稀くんに自慢げに話そうと決めた。
明日も仕事ということもあり、
2時間くらいで解散の流れになった。
「今日はありがとうございました!」
「僕の方こそ来てくれて嬉しかったです!また誘てもいいですか?」
「是非またご一緒させてください!」
来る前まであんなに身構えていたのがウソかの様に楽しい時間を過ごせた。
晴稀くんとももちろん仕事の話をするけれど、
少し業界が違うと知らなかった話もたくさん聞くことができた。
蒼人くん同じ業界の人ってだけで
雲の上の存在みたいに感じていたけど、
圭斗くんは話しやすいし、
フランクな感じだけど、気を遣ってくれていることが伝わってきた。
勝手なイメージや思い込みが良くないのはわかっていたけど、わかっているつもりになっていただけみたい。
これからは気を付けよう。
彼が売れっ子なのも納得だ。
お芝居、仕事に対する思いはもちろん、
周りの人のことをしっかり見ていて
機転が利く。
そんな人とご飯に行って仕事のことを話したりできるなんて、、
私も頑張らないと……!!
帰りのタクシーはいつもの様にSNSをみていた。
今日の蒼人くんは…
"今日はカフェラテ。
ミルクたっぷりで甘めのがお気に入りです。"
甘いのが好きな蒼人くんらしい。
今日もお仕事だったんだろうと推測し、
心の中でお疲れ様でしたと伝える。
蒼人くんの仕事…………
はっとした。
そうだ!庭球のチケットの申し込みをしなくてはならないことを思い出した。
光莉さんの分と私の分、2枚で応募した。
今度は当たりますように…!
当選祈願をして申し込み画面を閉じた。
そういえば庭球の稽古はまだ始まっていないのかな~?
圭斗くんに聞いてみればよかった。
いやいや、みんなが知らないことを知ろうとするのはよくない。
でも気になる…
そんな問答をしているとタクシーは家の近くに着き、支払いを済ませて家の中に入った。
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