第26話
今日は午前中で仕事を終えて、
久しぶりの美容院。
「冬木さん久しぶり〜!」
顔なじみの美容師さんと軽く挨拶を交わし、
鏡の前の椅子に座る。
特に髪型や髪色に希望がなかったので、
美容師さんのお任せてでお願いすることにした。
毛先を揃えるくらいにしてもらい、
長さはあまり変えず、
カラーは今流行りのカラーにして貰えるとのこと。
渡されたタブレットで雑誌を眺めていると、
目の前においてあった自分のスマホが震えているのに気づき、手に取る。
『お疲れ〜!
めぐみん今日って仕事遅くなる?
もし会えそうなら会えないかな?』
メッセージの主は星南。
そういえば本愛の舞台が発表された後に、
星南と連絡を撮った記憶が無い。
ということは…。
星南が連絡してきた理由を何となく察し、
嬉しさが込み上げてくる。
今日はこの後の予定は特になし。
と来れば、答えは決まっている。
『お疲れ〜!今美容院にいるから、
夕方からなら会えるよ!』
返事はすぐに返ってきた。
予想通り、本愛について知りたいといった内容だった。
となれば、ゆっくりゲームについての話ができる場所がいい。
画面を見たほうが話がわかりやすいけど、
スマホの画面を2人で覗き込むのは窮屈に感じる。
大きな画面で見れるようにするには…。
『よかったら今日私の家に来ない?』
美容院でツヤツヤになった髪をみて気分があがりながら家に帰る。
途中軽くつまめそうなものを購入して、家の前まで来ると、ちょうど星南が近くまで来ていた。
「あ!ナイスタイミング!」
「めぐみん〜!突然だったのにありがとう〜!」
星南が買ってきてくれたフルーツたっぷりのスムージーを飲みながら本愛をプレイしていくことにした。
星南のスマホでアプリをダウンロードして、
2人で見やすいようにテレビに写し進める。
物語の序章を読み終わると、
一緒に進めていくキャラクターを選ぶことが出来る。
それが舞台版のキャストが決まっている5人。
「はじめに選べるキャラクターは、雅紀くんの梅香志人でいい?」
「うん!そうする!わ〜!雅紀くんがやってるこのキャラクターを観る楽しみ!絶対似合うね!!!」
志人は高身長でしっかり者、みんなの頼れるお兄ちゃんと言った感じのキャラクターだ。
志人のイメージにピッタリな雅紀くんをキャスティングして下さった制作各位皆様…
本当にありがとうございます……!!
キャラクターを選ぶとゲームの進め方のチュートリアルが始まる。
本愛は実際にキャラクターを操作して戦うゲームとは違い、通常攻撃、スキル攻撃、必殺技の中から選んで敵を攻撃する。
最初の戦闘を終えると、新しい仲間を探しに行く、所謂“ガチャ”の画面に進む。
2人目のキャラクターを仲間に加え、キャラクターの育成や訓練のチュートリアルを終えると遂にゲームスタート。
メインストーリーがあるので、舞台はそのストーリーになるだろうと思っている。
「なるほどね〜!色んな物語の中に入って書き換えを防いでいくわけだ!」
「そうなの!物語の中に入ると、その世界観に合った衣装を何パターンかの中から選んでキャラクターに着せられるのも楽しいの!」
「それは楽しい!えっと、最初の物語は“竹取物語”!かぐや姫ってことは和服だね〜!」
本愛では各物語の中にチェックポイントとなる会話があり、選択肢を間違えてしまうと保守失敗になってしまう。
「えー!月からのお迎えが来なくて、かぐや姫、そのままずっと地球に残って終わっちゃった……」
選択肢が全て合っていても、戦闘で負けてしまうとこれまた保守失敗。
キャラクターのレベルを上げたり、武器を強化したり、新しい仲間を増やしたりしてクリアを目指すのだ。
「あ〜!!!結構難しいんだね…このゲーム。けどそれが程よくて楽しい!!!!」
「簡単すぎないし、難しすぎることもないのが本当にちょうどいいよね!良かった楽しんでもらえそうで!」
「うん〜!本愛の舞台楽しみになっちゃったな〜!人気のゲームなんだよね?」
「そうなんだよね…。すごく人気のゲームなの…。それにキャストも人気の人ばっかりだからチケット取れるかが問題…。」
「んー、それなんだけどさ?雅紀くんにチケット取ってもらうみたいなこと、出来ないのかな?」
「え」
確かに…。
俳優仲間の人達が舞台見に行く時ってどうしてるんだろ…。
圭人くんも庭球の舞台観に来て、ってこの前言ってくれたってことは……
チケットを用意できるって事?
晴稀くんとキラプリ見に行った時も関係者席に呼んで貰えたってことは、きっとそうい言う事……?
でもこれは、ファンとしてすごく悩む…。
みんなチケット抽選で当選して観に来てる。
だけど、せっかく星南が2.5次元舞台に興味無い持ってくれたんだもん。
生で観て好きになって欲しい。
この“芸能人特権”のようなものを使ってもいいのか……
星南は雅紀くんに1回聞いてみると言ってた。
私はまだモヤモヤと答えを出せずにいた。
私だって推し活したいっ!!! 冬空 幸 @yuki-ponzu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私だって推し活したいっ!!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます