第19話





30分の放送は体感10分ほどで、今週の放送も終わってしまった。



「鈴風…トゥンカロンは必須だった!!!ありがとう!!鈴風が買ってきてくれたのすっごくおいしいかった!トゥンカロン食べてる蒼人くん可愛すぎた…。」


「喜んでもらえてなにより!圭斗くんの罰ゲーム、さすがだったね~!きゅんとしちゃった~!」


「さらっとそういうことできちゃうところまで、天才だよね~!」



圭斗くんの話はなんとなく気まずさがあり、すぐに話題をかえることにした。



「グランピング…最高だね!行ってみたくなったな~!久しぶりに焼きマシュマロ食べたい!」


「私は行ったことあるよ~!」


「え!いいな~!!」


「快適だし、手ぶらで行ってBBQして泊って…至れり尽くせりな感じで超楽しいよ~!」


「やっぱり推しがやってることって、やってみたくなるのがオタクなのか…。

グランピングにこんなに行きたいと思ったのは初めてだよ」


「推しの効果ってすごいよね~!私も優雨くんが被ってたキャップ買っちゃったもん~!!現場には何となく被って行きづらくて、普段使いしかしてないけどね~(笑)」


「やっぱりそういうものだよね。蒼人くんたちが食べてたトゥンカロンも可愛かったし、美味しそうだったな~!どこで買って来たのか気になる…」


「めぐみなら本人たちに聞けるじゃん!」


「えぇ!?聞けないよ!!!」


「番組なんてたまたま見たとかなんとか言えばいいんだから」



3人の中で連絡先を知っているのは圭斗くんだけ…。


わざわざ圭斗くんに番組見たよ、って連絡するのも違う気がするし、圭斗くんにあまり連絡をしたくない。


蒼人くんとこれから共演の予定があったら、

話しかける口実にしたかも…。


…って、自分から話しかけるなんて絶対無理だ。隣に座ってるだけでも緊張で倒れそうだったのに。


何考えちゃってるだろ…。




「会う機会がないから聞けないよ」


「そっか~、そうだよね~」



鈴風には少し悪い気もしたけれど、圭斗くんの連絡先を知ってるなんて言えなかった。


嘘ついてごめんね。

本当のことを言っても、鈴風が圭斗くんに連絡するように勧めてくるとは思えなかったけどあの“廣野圭斗”だから。


2.5次元を好きな子なら知らない子はいない程の有名人。


彼の連絡先を知ってるなんて気軽に言えなかった。




「そういえば、本愛の話に戻るんだけど。」


「うん?なに?」


「ゲームのストーリーって神子がでてくるよね?第一弾のキャストで出てこなかったってことは、最近よくある観客が神子って感じなのかな?」


「そっか!発表されてないね!その可能性高いね!」


「じゃあ怜って神子様大好きキャラだよね…!可愛い優雨くんがみれそうで嬉しい!!神子役、もし女優さんがやることになってたらちょっと辛かったかも…」



神子はゲーム内で姿や声などはなく、自身が神子の視点でゲームを進められるようになっている。


つまり性別や年齢が決まっていないため、老若男女楽しむことができる。


本愛の世界で神子の存在は貴重だが、1人しかいないということでは無いため、色んな神子がいて当然ということになる。



「確かに。神子は性別決まってないけど、ゲームやってるの女の子が多いから、女優さんが神子役やる可能性もあったよね。」


「あったよ〜!だけど回避!制作さんありがとう〜!リアコじゃないと思ってるけど、やっぱり仲良い女優さんとか、距離感近い役とか見るの辛いって思っちゃうんだよね…」


「推しが他の女の人と距離感近くていいな!って思えなくても全然普通だと思うよ」



蒼人くんがもし、そういう役をやったら…


私はどう思うんだろう…

見たくないな、辛いなって思うのかな?


それとも、見たことない蒼人くん、新しい蒼人くんを見たいって思うのかな…?



「とりあえずチケットの先行始まったらまた連絡するね!1番早いのはやっぱりキャスト先行かな…?」



2.5次元舞台のチケット申し込みは、大体2.3回はチャンスがある。


もっと何回も申し込める舞台もあるけど、1つの申し込みで当たる人数が少なくなるか、多くなるかの違いだ。


キャスト先行は、出演するキャストさん達のファンクラブに入っている人を対象にしたものだ。


私だったら蒼人くんのファンクラブに入っているから、ファンクラブに申し込み用のURLが表示され、そこから申し込みすることが出来る。


次にありそうなのが公式ホームページの先行。


今回本愛の舞台化が発表されてできたホームページからの申し込みだ。誰でも申し込みができるので、キャストのファンクラブに入っていない人でも申し込める。


後はチケットサイトの先行があったりして、一般の先着販売。


一般のチケットは空売りなんて言われるくらい取れない舞台が多い。



「キャスト先行が1番早そう!なんとなくだけど!」


「私もそう思う!あ〜!絶対行きたい〜!私神社で運気上げてもらってくるわ!」


「素敵!私もこれから徳を積むしかないね…」



話は尽きなかったけど、鈴風があくびをしたのを合図に2人とも布団に入った。




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