第6話
ドラマの撮影も順調に進み、今日でみんなクランクアップとなった。
晴稀くん、杏澄ちゃんにちゃんと伝えられたかな…?
そんなのことを考えながら楽屋に戻ると、星南がお菓子を食べながらスマホを眺めていた。
「お疲れ様〜!」
「めぐみん〜!お疲れ〜!ねえねえ、ちょっと私見ちゃったんだよねえ〜!」
「なになに?何を見たの?」
「実はね、晴稀くんと杏澄ちゃんが2人で話してるところ!杏澄ちゃんが晴稀くんに告白した返事って感じだと思うんだよねえ〜」
なんともタイムリーな話だ。
晴稀くん、ちゃんと杏澄ちゃんに伝えたんだ。良かった。
「それでね、晴稀くんは断ったのよ〜。杏澄ちゃん、泣くかと思ったら、まさかのまさか!!晴稀くんに告白しておきながら、悠翔くんに告白されて付き合ってるって話だったの!!やばくない???」
「え!?それは…杏澄ちゃん凄いね?」
びっくりしすぎて、どういうことか一瞬わからなかったが、変な三角関係にならなくて良かった…。
ということでいいのだろうか。
「告白の返事待たずに他の男と付き合うとか、誰でもいいんかーいって感じ〜(笑)流石の晴稀くんもその事実を告げられて、『そ、そうだったんだ。おめでとう、じゃあ…。』って去って行ったんだけどね〜(笑)」
晴稀くん、傷つけないように断る方法をすごく悩んでたのに…。
この結末は誰も想像していなかっただろう。
誰も傷つかず話が上手くいった点に関しては良かったと言ってもいいのだろうか。
晴稀くん、お疲れ様…。
光莉さんが待つ車に乗ると、いつも通りスマホを手に取った。
「めぐみ、お疲れ様!はい、カフェラテ〜!」
「光莉さん、ありがとう〜!」
カフェラテを1口口に含み、蒼人くんのSNSを開くと、5分前に更新されたばかりだった。
“先程情報解禁されました!
まさと番組をさせて頂くことになりました!
初回以降はゲストが来るとか来ないとか^^
皆様に楽しんで頂ける番組になってるかと思います!”
貼ってあったURLから公式サイトにとぶと、
どうやら最近流行っているもの巡りをする番組みたいだ。
「え〜!すごい楽しそうな番組!!雅紀くんとのこの前の撮影はこれだったのね〜!」
蒼人くんたちが巡ったところに私も絶対に行って同じことしよ〜!
来月からで、テレビでも放送するんだ!
録画しないとな〜
そんなことを考えながら、気分よくSNSを見ていると光莉さんが横から声をかけてきた。
「あ、めぐみ〜!来週“アフタヌーン”に出演決まったからよろしくね〜」
「は〜い……って、アフタヌーン!?」
アフタヌーンはお昼の情報、バラエティ番組。毎回ゲストを呼んでいる人気番組だ。
「光莉さん、いじめですか…?私がバラエティ苦手なの知ってますよね…?」
「苦手苦手って言ってるけど、今回はお昼の番組だし、情報番組でもあるんだからここから頑張って行きましょ〜!」
「それはそうなんですけど…。」
「それに今回は素敵なサプライズがあるんだから〜!」
「サプライズ?」
「そう!楽しみにしてなさいよ〜」
さっきまでの楽しかった気分は、来週のアフタヌーンをどうやって乗り切るかという緊張と不安に変わっていた。
「それと!最近SNSあんまり更新してないんじゃないの〜?人のSNSを見るのはいいけど、自分のもちゃんと更新してね〜?」
「あ!ごめんなさい!それはちゃんとやります!!」
確かに最近SNS見る専で更新はしていなかった。
星南に連絡して、さっき撮った写真を撮ったアップしていいかを確認してから、SNSを更新した。
“今日は大好きな星南と一緒でした!
星南の好きなお菓子と♡♡”
SNSにアップする用に今度光莉さんに私服も撮って貰おうかな〜
ドラマの宣伝もちゃんとしないとね、、!
「アフタヌーンは『私たちの恋日記』の番宣で出ることになってるからよろしくね〜!」
「はーい!頑張ります…」
『私たちの恋日記』は今クランクアップしたドラマのタイトルだ。
番宣は…大丈夫。出来る。
問題は振られる質問にどう返すかだ。
そんなに変なことは聞かれないと思うし、台本だってあるし……
大丈夫だよね…?
不安になりながらも、次の現場に向かった。
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