第24話
いざ!!!開封!!!!
まずは缶バッジ!
1つずつ銀色の袋で中が見えないように梱包されている為、
粘着部をビリビリと剥がし中身を確認していく。
1つ目、2つ目、3つ目と開封していくものの、
なかなか蒼人くんがでない。
緊張とわくわくから悲しみに変わりつつある気持ちの中、
蒼人くんが出ないまま最後の1つとなった。
見守ってくれている光莉さんも少し緊張しているように見える。
ビリビリッ
最後の一つ…お願い……!!
「あ!」
「「でた!!!!」」
つい大きな声を2人して出してしまった。
目立たないように目立たないようにしていたのが水の泡になるかと思ったが、
幸い公園にはあまり人がおらず、特に注目を集めることもなかった。
「唯月くん~!!出てくれてありがとう~!!」
「よかったわね!出なかったら、私が追加で買いに行くところだったでしょ?」
「……出なかったら頼もうと思ってたよ…。バレてるなんてさすが…」
自分で何度の買いに行くのはやっぱりリスクがある。
人と関われば関わるほどいつ気づかれるかわからない。
缶バッジの開封が終わり、呼吸を整えて…
今度はアクリルスタンドを開封していく。
缶バッジと同様に銀色の袋に入っており、
粘着部をビリビリと剥がして中身を取り出す仕様になっている。
缶バッジは最後の最後に蒼人くん演じる唯月くんがでたけど…
アクリルスタンドは出てくれないかもしれない。
再び緊張とワクワクを胸に開封していく。
1つ目…
「「……!!!」」
取り出したアクリルスタンドを手の平の上に置き、神様に感謝した。
「天才的すぎる!!!!ありがとうございます!!!」
私の手の平にのっているのは
ラケットを背中の後ろにもっている
間違いなく私の推しである唯月くんだ。
推しが1つ出ればあとは気楽に開封ができる。
もうすでに1つは確約されたからだ。
残りのアクリルスタンドをすべて開封し終わり、改めて確認してみると、
今回は3つも蒼人くんのアクリルスタンドを手に入れられた。
「3つも…!!神様ありがとうございます…!!」
「おめでとう~!やったじゃない!」
最後はランダムブロマイド。
ブロマイドは表が銀色、裏が透明のOPPに入っているため、
取り出して写真の面を表にするとそのまま袋として使える仕様のものだった。
30枚のブロマイドを取り出し一枚づつ裏返していく。
程なくしてすべてのブロマイドを確認することができた。
「………そんなこと…」
あまりの光景に崩れ落ちそうになるのを必死に我慢する。
「唯月くんが1枚もでないなんて…」
ブロマイドは全部で34種。
その唯月くんが写っているのは、
ソロで1枚、ペアショットが2枚、チームショットが1枚の合計4種類。
2/17の確率で出ることにはなるけど…
30枚買って1枚も出ない…
なんてこともないわけではない。
もちろん被っている物もあるので、唯月くんが写っていない残りの30種類を引き当てたわけでもない。
「そんなこともあるんだね…」
「そうなんです…。これがランダムの楽しいところでもあり、辛いところでもあります…」
光莉さんの妹として完璧に作っていたが
この襲撃に勝てずいつものしゃべり方になっていた。
「…よし!こうなったら唯月くん?…だっけ?引けるまで私が何回でも買ってきてあげる!お姉ちゃんに任せな!!」
光莉さんの言葉に、すっかり妹を演じることを忘れていた私ははっとした。
「~~~!!ありがとう!!お姉ちゃん!!!」
光莉さんが追加で20枚買って来て下さり、
なんと唯月くん全種が揃った私たちが
大興奮だったのは言うまでもない。
開演10分前になったので、私たちも中に入り幕が上がるのを待った。
「なんか緊張してきたわね…」
「同じく…」
2.5次元舞台初観劇の光莉さんが緊張しているのは分かるが、何度見に来ても私も緊張してしまう。
正確には緊張ではなくて、
胸が高鳴ってワクワクが止まらない…そんな感じだ。
会場に流れていたBGMが少しづつ大きくなり
照明が暗くなっていく。
…始まる…!
お話は原作の漫画通りに進んでいく。
ところどころオリジナル部分もあるものの、ほとんど原作通り忠実に再現…といった感じだ。
主人公の玲生と後のライバルとなる唯月の初対面シーン!!
「…もう食べれねぇ……」
「俺も…」
友達と大食いチャレンジに来ていた玲生。
半分ほどでギブアップしようとしていた時、
「おい!あっちの奴見ろよ!!!」
そういわれて視線を向けると
「あいつもう食べ終わりそうな勢いだぜ!?どうなってんだ!?」
すごい勢いでデカ盛りカレーが吸い込まれていき、お客、スタッフ全員の注目の的となっていた少年が完食して口を開く。
「ふぅ~!美味しかった~!」
その言葉にあちこちから拍手がおこる。
「え!?あはは、ありがとうございます~!めっちゃおいしいから皆さんも挑戦してみてください~!」
そういって店から出ようとする少年の手を玲生が掴む。
「…もしかして、唯月くん…?」
「え?何で知って…って、え!?もしかして玲生くん?」
そして二人の回想シーンに入る…。
…………っ良い!!私が思ってたまま、いやそれ以上にすてきな表現。
庭球の舞台を見に来ることができてよかった…!
久しぶりに蒼人くんの演技を観て思ったことは、
私はやっぱり蒼人のお芝居が好き…!
やっているキャラクターを愛して、そのキャラクターの目線で考えてお芝居してくれる表現が好き。
かわいいとこと、おとぼけなところ、
かっこいいところと、俊敏なところ、
いろんな顔を持っていて、いろんなキャラクターになれる。
2.5次元の舞台に出演がきまると、
蒼人くんがやってくれるなら大丈夫だって思わせてくれる安心感。
私は本当に蒼人くんが大好きで、蒼人くんのファンなんだって。
改めて自覚した。
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