#24 友達の覚醒
3学期になって、1か月と少し経った。
イクミがあちらに帰って以降、毎晩電話でお喋りをしている。
イクミの声が聴けるだけで、以前のような寂しい気持ちがほとんど無くなった。
物理的な距離は同じに離れて居ても、気持ちの距離が無くなっただけで、全然違う。
イクミは「早くアカリに会いたい」「今度会う時も沢山エッチしたいね」「今度エッチする時、してみたいことがる」などなど、相変わらずの肉食系。スマホで色々エロいこと勉強しているそうだ。
だから僕も「僕も早く会いたい」「イクミのおっぱいが恋しいよ」「イクミのおっぱいの感触が忘れられない」と、遠慮なく下ネタ全開でお喋りしている。
それと、今から春休みのデートの計画を色々話し合ってて、そんな会話が楽しくて仕方ない。
ミワとは相変わらずで、キスをすることは無くなっただけで、いっつも一緒にいる。
登下校で腕を組んでくることはもう無くなったけど、並んで歩く時はよく僕の上着の端や袖を掴んでくる。
多分、ミワなりにイクミ対しての義理立てなのか遠慮しているのだろう。
そういえば、イクミに貰ってたヘアピンを毎日律儀に前髪に付ける様になってた。
おデコを出すようにしたお蔭か、少し印象が明るくなったような気がする。
で、今日はバレンタインだったんだけど、いつもの様に教室でミワが来るのを待ちつつクラスメイトとお喋りしていたら、ミワが真っ赤な顔してフンガフンガ鼻息荒くして僕の教室にやってきた。
明らかにいつもと様子が違うので、ミワのクラスでトラブルでもあったのかと心配して『どした!?』と聞くと
「しつこくてウザかったから、罵倒してきた」と。
どゆこと?と詳しく聞き出すと
HR終わって僕のところに行こうとしたら、いつものしつこい男子が話しかけてきて「森田さん、だれかにチョコあげるの? あげる相手いないなら僕が貰ってあげようか? 僕は義理でもいいよ?」とかふざけたこと言い出して、もう我慢できなくなって「はあ!?なんでアンタみたいなミジンコに私がチョコあげないといけないわけ!? 勝手にワンチャンあるかもとか期待してるならハッキリ言うわ。 アンタみたいな口臭い男なんか話しかけられるだけで吐き気がするわ! もう話しかけないで! アカリ待たせてるから邪魔しないで!」って言い放ってきたそうだ。
なんか、中1の時に罰ゲームで告白してゴミクズの様に振られた時のこと思い出して、無駄に僕までダメージ食らった。
とりあえず『そ、そうか。・・・頑張ったな!』と無理矢理
ウチのクラスの連中も、ミワのバーサクモード見るのが初めてで、若干引き気味だったけど、なんだかんだで「よく言った!」「勘違い男、うざすぎ!」とミワの事を一生懸命
ミワは落ち着くと、ウチのクラスでいつもお喋りしているメンバー男女に「いつも仲良くしてくれてありがと」と言って、チョコを配っていた。
ミワにチョコ貰った女子が「もしかして、4組では誰にも渡してないとか?」と聞くと「うん、クラスにあげたい人居ないし」とサラっと答えた。
それ聞いて「ミワちゃんありがとぉ~」って言って女子が抱き着いて、ミワもエヘヘヘって素の笑顔を見せていた。
それ見て『ミワって自然に笑うと本当に可愛いんだよな』と、改めてミワが美少女なのを思い出した。
いつもの様に二人で学校を出て下校し、地元の駅に着くと「今日、ウチに来ない?」と言うので、久しぶりにミワの家に遊びに行った。
ミワの家に上がり、ミワのお母さんと妹のミクに挨拶してミワの部屋に行くと、ミワがさっきのチョコとは違うチョコをくれた。
「ハイこれ。本命寄りの義理チョコだから」
『お?おう、ありがと。てか本命寄りとか聞いたことないんだけど、お菓子メーカーの新たな戦略か?』
「ちっがうから! 前に言ったでしょ。中一の時の告白断ったこと、後悔したことあるって。そういうことだから!」
『まぁ、義理チョコとして有難く頂きます』
「うん、そうして」
「そんなことより! 今更になって、明日クラスに行くのが不安になって来たんだけど!どうしよ・・・?」
『あー、そうか』
『実はそういうの、僕は何度も経験している歴戦の
「え?そうなの?いつもどうしてるの?」
『ヨシ、アカリ様の実体験を聞かせてあげよう』
『あれは3年前の中学1年の秋だったか・・・。僕は学年一の美少女に告白したことがあるんだよ。で見事に玉砕して、挙句滅茶苦茶嫌われるわ、学年中から白い眼で見られるわ、そりゃもう周り敵だらけ。何せ学年一の人気者から嫌われちゃったからね?』
「・・・・・」
『で、どうしたかっていうと、何でも無い顔でスルーするの。 嫌味とか言われても「気になんてしませんよー」って態度し続けるの。 周りが騒いでても「お前らこんなことくらいで騒いで、ガキだなぁ」って生暖かい気持ちで平然とするの。 もうこういうのは気にしたら負け。 構うだけ時間と労力と精神の無駄。 そんなの相手するくらいなら、晩飯のメニュー考えてるのほうのが有意義。 それくらい平然とした態度でいるの』
「なんだか、物凄い嫌味言われた気がするけど、でも言いたいことは凄く判った。 私も明日からやってみる。 どうせ嫌われても、あと1か月もすれば春休みでクラス変わるし」
『うん。もしキツクなったら呼んで。4組乗り込んで僕がミワの代わりに暴れるから。 こう見えても学校じゃ僕の味方は多いからね。 僕を敵にして後々困るのはヤツらだから』
「うん、判った。でもなるべく自分で頑張ってみる」
そう言うミワが、少し前のキスやセックスを迫ってきた頃とは違って、どこか頼もしく見えた。
自宅に帰ると、イクミから宅配便でチョコとクッキーが届いていた。
直ぐにイクミに電話して、イクミとお喋りしながらイクミからのチョコを食べた。
チョコもクッキーもイクミが手作りしてくれたそうだ。
マイハニーの愛を感じる・・・
ミワに貰ったチョコは、翌日に食べた。
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