概要
目覚めた彼女の名は森美月。しかし彼女は、新聞部の部室に自分の足で来た覚えはないと主張する。彼女は新聞部の部室で佐倉に起こされるまで、隣の演劇サークルの部室で寝ていたらしい。また、新聞部の部室には鍵がかかっており、佐倉以外が入ることはできない状況であった。
密室での不思議な出会いから、佐倉は次々と不可解な事件に遭遇し、その度に己の目指すべき記者像を再定義する。
そして最後に、過去の森を襲った衝撃の事件に佐倉は挑むことになる。その過去の事件とは、佐倉が記者を目指すきっかけとなったある事件とも繋がっており......
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!J'accuse・・・!
ヨーロッパ圏には「真実は時の娘」なる格言があるそうです。
「時の娘」という言葉からジョセフィン・テイの名前を思い浮かべたという人は、きっとミステリ好きの方でしょう。
あるいはこの作品で初めて知ったという人、私のことですが、そんなミステリ畑に疎い私のような人でも、話を追うにつれ、このタイトルの秀逸さを肌で感じずにはいられないでしょう。作者さまの気迫がこもった、真に迫る、祈りにも似た、魂揺さぶられる作品でした。
私がカクヨムに登録して幸運だったことのひとつは、偶然にもミステリ好きの人たちと出会えたということでしょうか。
事件、推理、謎解き、犯人探し、真実――。
一見物語の世界だけで完結…続きを読む - ★★★ Excellent!!!記者志望の青年が少女ともに隠されていた真実を解き明かす青春ミステリ
新聞記者にあこがれて大学の新聞部に入部した青年、佐倉創一。
しかしその日、密室だったはずの新聞部の部室に森美月という一人の少女が眠っていました。
目を覚ました彼女によると「自分は隣の演劇サークルの部室で寝ていた」ということだったのですが……。
物語は大学を舞台に起こる奇妙な出来事の真相を、主人公の佐倉くんとそれに巻き込まれた森さんが解き明かしていくことから始まります。
しかし、その事件を解決する中で佐倉くんは自分の記者としての在り方を見つめなおすことになり、それは彼と森さんの抱えていた重大な過去の事件にも繋がっていくことになるのです。
三つの中編から構成されており、最後の章は実際に起こっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最高のミステリー作品!
本作は神楽大学新聞部の佐倉君と、演劇部の森さんが意外な所で出合い、奇妙な事件に巻き込まれるところから謎が始まります。
とても巧みに伏線が張られており、読み返したり、深く考えてもトリックは全く分かりませんでした。ミステリーって面白い!そう素直に思う作品です。
そして、本作の主人公である佐倉君と森さんが本当に魅力的なキャラクターで生き生きとしています。佐倉君は生粋の新聞記者体質で、森さんは観察眼が鋭く二人とも個性的であり物語から抜け出してくるように躍動感を感じます。ミステリーとして楽しめるのはもちろんのこと、主人公達の会話の掛け合いや考えていることもとても面白くてどんどん読み進めてしまいまし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!真実を殺める
とある大学の新聞部の主人公佐倉創一が、鍵をあけて部室に入ると、机の上でこんこんと眠る女子大学生と、血のように滴るトマトジュースによって破壊された備品のPCがあり――という始まりの日常ミステリです。本作はいくつかの短編〜中編を束ねた連作になるようで、以下では現時点(第1章「眠れる森の密室」終了時点)の感想を書きます(第2章もめちゃくちゃ楽しみです!)。
トリックはぜんっぜんわかんなかったです。怪しいなと思った要素はたくさんあったんですが、それをどう結びつけたら密室になるんだろうとウンウン唸ったけどわからず、種明かしを読んで「ウォー、なるほど!」となりました。さり気なくたくさん怪しい要素が提示…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新聞部報道起因の巧妙に仕組まれた密室事件、男女学生バディがその謎に挑む
佐倉創一は神楽大学一年生、新聞部に所属している。部員は三人、だが活動しているのは彼一人である。新聞部のメールアドレスにメールが入る。彼が報道した記事について話がある、と。部室に入ると、見知らぬ女子学生(演劇部部員森美月)が眠っていた。彼女にはここに来た記憶がないと言う。この部室が完全な密室であったことを確認し、新聞部報道のミスターグランプリ―不正事件と関係があることを突きとめた二人は、謎の解明と犯人の割り出しに挑む。
ホームズ張りの佐倉、勘が働き突っ込み鋭い森。この組み合わせ、掛け合いが実にいい。
タイトルの「時の娘殺し」、なんとも意味深である。
このタイトルの持つ意味が、事件全体とどの…続きを読む