新聞部報道起因の巧妙に仕組まれた密室事件、男女学生バディがその謎に挑む

佐倉創一は神楽大学一年生、新聞部に所属している。部員は三人、だが活動しているのは彼一人である。新聞部のメールアドレスにメールが入る。彼が報道した記事について話がある、と。部室に入ると、見知らぬ女子学生(演劇部部員森美月)が眠っていた。彼女にはここに来た記憶がないと言う。この部室が完全な密室であったことを確認し、新聞部報道のミスターグランプリ―不正事件と関係があることを突きとめた二人は、謎の解明と犯人の割り出しに挑む。
 ホームズ張りの佐倉、勘が働き突っ込み鋭い森。この組み合わせ、掛け合いが実にいい。

タイトルの「時の娘殺し」、なんとも意味深である。
このタイトルの持つ意味が、事件全体とどのように関わってくるのであろうか。興味がつきない。
 佐倉が大学新聞部に入った理由、ミスターグランプリ―不正事件との関り、十五年前の自動車事故のトラックメーカーの隠蔽記事、報道が持つ意義と重み、事件の背景は深く、複雑である。

作者の謎解きには定評がある。私もその魅力に憑りつかれている一人である。
読者の皆様も。佐倉、森と共に、密室から始まる事件の謎解きに挑戦してみては如何でしょうか。

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