前作『「噓だろう……」~ 転移したら俺に落第点をつけた女性にそっくりな公爵令嬢が隣国の王太子殿下に寵愛されて妃殿下になりました。』の続きです。
異世界から生還し、美梨との結婚を選んだ修。
二人の子供たちを育てながら、平和な日々を過ごしていました。
しかし、交通事故に遭い、再び相棒の木谷と一緒に異世界へ意識が飛ばされてしまいます。
レイモンドとなり、メイサと再会するも、陰謀により家族はバラバラ。
木谷ことタルマンとも連絡が取れなくなってしまいました。
そんな家族の危機を救えるのは、息子であるトーマスしかいません。
家族、恋愛、嫉妬に嘘、恨み――
そして、新しい出会いを経て、少年が成長する物語です。
祖母の代から続く、複雑な人間関係。
身分違いの恋に右往左往しながらも、トーマス自身も失敗を繰り返しながら奮闘します。
愛しのルリアンから三十点と言われながらも、頑張るトーマスに期待しましょう!
男として三十点の社会人。修の異世界転生「嘘だろう……」シリーズの第2弾。
前作で美梨と結婚して、子育てをしながら暮らしていた修が事故に遭い、再び異世界に転生してしまったからさあ大変。
せっかく現実に戻ってきたのに、二度も異世界転生するなんて嘘でしょう!?
再び転生してしまった修は異世界ではレイモンドと名乗り、美梨にそっくりな女性、メイサと共に子育てをしていくのですが……。
今回の主役は、そんなレイモンドとメイサの子供、トーマスくんです。
表向きは、王族の血を継いでいるトーマスくん。しかし本当はレイモンドとメイサの子供であり、その事は限られた人しか知りません。
しかし、ある日王位継承者としてお城に連れて行かれたトーマスくん。本当はそんなものになりたくないのに、住み慣れた家や家族から離れ、寂しい毎日を送りながら成長するのが切なかったです。
けど、そんなトーマスくんにまたも人生の転機が訪れます。
たまたま庶民の娘、ルリアンと出会って恋に落ちたトーマス。しかし父親に似てしまったのか、彼は女性の扱いが上手いとはいえず、ルリアンを怒らせてばかり。
トーマス、何もそんな所が似なくてもいいのに。けど読んでいると、それでこそトーマスって気がするから不思議です。
異世界転生から始まる、家族の物語。身分や立場、恋に翻弄されながらも頑張るトーマスや、彼の事を嫌いと言いつつも気になってしまうルリアンに、キュンキュンさせられました。
乙女ゲームの中である異世界に転生し、波乱万丈な恋を繰り広げた修。
無事に現実世界に戻ったら、ゲームの内容ととリンクしたことが起こっていて、最終的には再び異世界の世界に。
というのが、シリーズ第一弾である前作の、すごーくざっくりした流れ。本当はもっと詳しく書きたいのですが、そうしたらこのレビューがどれだけ長くなるかわかりません。
とにかくそういうわけで、再びやってきた異世界。
とはいえ前作で大きな区切りはついたのだし、前みたいな大騒動は起きないだろう。なんて思っていたら、甘かった。
今回の主役は、異世界での修ことレイモンドの息子、トーマス。
二人は血の繋がった親子なのですが、訳あって世間的には義理の親子ということになっています。
なら、トーマスの実の親と言われているのは誰かというと、パープル王国の王子、トム。つまりトーマスは、事実はどうあれ、王子としてこの世に生まれたことになっているのです。
色々あって母のメイサと一緒に王室を離れ、メイサはレイモンドと再婚。トーマスは、レイモンドが実の父親と知らないながらも、後に生まれた兄弟達共々、幸せに暮らしていました。
が、一度は切れたと思われた王室との縁。まだまだしっかり残っていました。
色々あって、再び王室へと呼び戻されるトーマス。もちろん本人や家族はそんなもの望んではいませんが、嫌だと言って簡単に取り下げられるものではありません。
しかもその裏には、ある人物の強い思惑も絡んでいるようで。
王子という立場に加えて、自身はまだ知らぬ出生の秘密。
前作のレイモンドも波乱万丈な運命を辿りましたが、トーマスはそれ以上。運命に翻弄される彼に、救いの手は、そして、心許せる相手は現れるのか。
そして本作の鍵となるのが、修が異世界に行く際、一緒に事故にあい共に異世界にやってきたタクシー運転手の木谷さん。
前作にも登場し、最初はチョイ役かと思っていましたが、意外や意外、想像以上に出番も活躍も多かった。そして本作では、それ以上の重要人物になっているかも。
かれの活躍にもどうか期待してください。
私がもし主人公(秋山修・レイモンド)だったら、きっと気が狂ってしまうことでしょう。現世の修には妻(美梨)と子が二人いる。異世界のレイモンドにも妻(メイサ)と子(トーマス・ユートピア)がいる。彼は異世界にいるときは現世の美梨を、現世にいるときは、メイサを気にしなければならない。この二つの世界を行き来し、ふりかから難局を乗り越えていかなければならないのだから。
この作品は「嘘だろう……」シリーズ第二弾です。
この物語は重層的になっています。この作品の作者、この物語の原作者、現世の登場人物そして異世界の登場人物です。この登場人物を転生させているのが、原作者。登場人物がこの原作者の存在を知っています。ですから、登場人物はこの窮地を脱するには、原作者に接触し、説得しなけばなりません。
異世界は王宮が舞台です。王や王妃、執事や召使い、継承争い、様々の問題があって、レイモンドもメイサも、悪戦苦闘の連続です。きっと二人はこの難局を突破していくのでしょう。夫婦愛と家族愛、愛ほど強いものがないからです。