第6話 姉が誘拐現場にやって来る
「ほら、お嬢ちゃん。猫ちゃんだよ~」
「ニャー(裏声)」
「わ~!かわいい!!」
鈴(りん)は学校の帰り道で、5人組の怪しい男たちに話しかけられていた。
一人は鈴と話し、一人は猫のぬいぐるみを動かし、一人はマスクの中から猫の鳴き声を出し、一人は鈴の背後に立ち、そして一人はバンの運転席にいる。
「ほらほら、猫ちゃんもお嬢ちゃんのことが気になるみたいだよ~」
「ニャン、ニャオーン(裏声)」
「ほんと?よしよし!」
男はぬいぐるみの前足を動かす。
鈴は嬉しくなり、その頭を撫でる。
「ほらほらほら~、猫ちゃんが車の中に入っちゃうよ~」
「ニャイニャーイ(地声)」
「待って待って~! …ん?今の猫ちゃんの声じゃ…きゃあ?!」
ブーーーーン…
鈴は後ろから抱きかかえられ、そのまま連れ去られた。
姉に。
「妹」
「おねえちゃん!」
涼(りょう)はバイクで鈴をその場から連れ去ったのだ。
「あん?今何か通ったか?」
「いや…ってあれ?あの娘は?!」
「どこ行きやがった!」
「何かお探しですか?」
「おう兄ちゃん、いいとこに!この辺に碁点(ごてん)中学の制服着た女いなかったか?」
「背が低くて、栗色のポニーテールで」
「その子を見つけてどうするんですか?」
「決まってんだろ!このバンで誘拐するんだよ!」
「いい感じ娘だったからな…着せ替え人形にしてやるぜ!」
「このぬいぐるみの頭を撫でたあの小さい手で俺の禿げかけの頭も…」
「そうですか、逮捕ですね」
「そうそう逮…ほ?」
その5人組は警察に連行されていった。
********************************
涼と鈴の家
涼の運転で2人は帰宅した。
そして涼は自分の部屋に鈴を招いて、ベッドの上に座らせた。
「鈴、ダメじゃないか。あんな明らかに怪しい人たちと話しちゃ」
「ご、ごめんなさい…」
「まったく、鈴はいい子過ぎるんだから。それに可愛すぎる。小さいし軽いし、しかも可愛い。そんなんじゃ簡単に誘拐されちゃうぞ!可愛い!!!!」
涼は説教しながら刻むように『可愛い』と愛でた。
「でも、おじさんたち優しそうだったよ?猫ちゃん持ってたし…」
「あれは猫のぬいぐるみだよ。もし私が誘k…助けに行かなかったら、鈴は今頃どうなっていたかわかる?」
鈴はきょとんとした顔をしている。
「はぁ~、まったくわかってないみたいだね」
ポフン
「おねえちゃん…?」
涼は鈴をベッドに押し倒した。
そして、鈴の腹をゆっくりと撫でる。
「こういうこと、されちゃうんだよ」
息を荒くしながら鈴を見つめてそういうが、鈴は笑顔だ。
「ふふっ、くすぐったいよ~」
鈴には涼の行為の意図が伝わっていないらしい。
それを察した涼は、鈴の腹に置いた手を上へと移動させていく。
「…いいよ」
「え?」
胸の真ん中の、ふくらみがない部分に触れた瞬間、鈴がつぶやく。
「おねえちゃんになら、何されても」
先ほどまでの無邪気な表情が嘘のように豹変する。
今の鈴の顔は―――
「ぁ…ぇ…////」
涼は顔を真っ赤にして、鈴の隣に倒れた。
涼には刺激が強すぎたらしい。目をうず巻かせて混乱している。
「?、おやすみ、おねえちゃん」
鈴はそう言い、涼を抱いて眠り始めた。
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