第2話 Goodbye Happiness

2.

" Cold Stare 冷たい視線 "



 すぐさま、弁護士と育がメールでのやり取りを検証している。


 「脅されたってどういうことなの? 」


 母が問う。


 「フーム、確かに奥さんは何度も会うことを拒んでおられますね」

 メールに目を通しながら弁護士が言った。


 「君が一度目に一緒にホテルなんかに付いて行かなければ

脅されることもなかったわけだ! 」

 

 そう言って育が私を責める。



 「ごめんなさい、あの日はどうかしていたの。

 いつもと同じくらいしかお酒は飲まなかったのに、すごく酔って

しまって・・。


 上司と一緒にホテルに入ったのも分かってたんだけど、頭が

モーローとしちゃってて、何で私突っぱねて帰って来なかったんだろうって、ずっと後悔してた。


 だけど、どーして・・? 」



 「どーして、バレたかって?

 君とヤツが一緒にホテルの部屋にいる写真が家に届いたんだよ。

 誰が送りつけたか分かる?」



「私がこの間の誘いを断ったから、その嫌がらせだと思う」



 「この上司の石野ってこと? 」


 「うん、たぶん」



 「で、景子さん、どーするつもり?

 俺にどうやって詫び入れてくれンの? 」



 夫の冷たい台詞と周囲の戸惑いのある冷ややかな視線に私は

耐え切れず、消えてなくなってしまいたいと思った。


 「まぁ、どんなことをしてもらっても信頼は戻ってこないけどな」

 育が吐き捨てるように言う。

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