Goodbye Happiness 

設樂理沙 

第1話 ◇ Kangaroo Court 吊し上げ

山本 育  やまもと いく       27才     リーマン

山本 景子 やまもと けいこ     25才     パート事務 

北原景子---  景子の旧姓


北原 哲  きたはら てつ 景子のまたいとこ 45才  リーマン   


石野 さとみいしの さとみ      32才     専業主婦  

石野 剛  いしの たけし      35才     リーマン



AI自作画 貼り付けてみました。

https://cdn-static.kakuyomu.jp/image/9Tb6UHI8

         ・・・・・・・・・・・・・

 1.


◇ Kangaroo Court 吊し上げ



 私、山本 景子の人生が25回目の誕生日でオワタ。


 今日は私の誕生日で結婚してから3度目になる。

 今年は例年になく夫の育が両家の両親を呼んでくれての、盛大な

誕生日パーティになるはずだった。


 なのに、私が全てをぶち壊してしまった?


 あまりに情けなくて……恐ろしくて……育の顔を見ることが

できない。


 夫の育が両家の両親に招集をかけたのは、私の誕生日祝いなんかの

ためじゃなかった。


 私と上司の不義密通を暴くためだったと、少し後から気付いた

お間抜けな私。


 皆の目の前のテーブルには、上司の石野とホテルに入るところ

出たところ、大きくて鮮明な写真が8枚ほど並べられていた。


 育は弁護士も呼んでいたようで、準備万端だった。



「景子、何か言うことは? 」



 私は夫の問いかけに成す術もなく、首を横に振った。


「ごめんなさい」



「景子ちゃん、どーして? 」

 母が震える声で聞いてきた。



「お母さん、私、上司に脅されてたの。

 本当はこんなこと続けたくはなかったんだけど」


「ふーん、景子……携帯見せろ! 」



 私は素直に夫に携帯を渡した。


 そうだ、見てもらえれば私が上司と自ら会いたくて会いに行って

いたのではないということが分かってもらえるはず。


 私は僅かばかりの期待を込めて携帯電話を夫に手渡した。


  


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る