第17話 Goodbye Happiness
17.
" Secret 秘密 "
景子は俺には知らせず、ひとりで産み、もしかしたら
我が子の父親役を自分じゃない誰かにまかせているのかもしれない。
そう思うと、育は情けなさと激しい怒りに見舞われた。
育はその場から動けなかった。
もし、今景子の前に現れたら、とても冷静でいられる自信が
なかった。
3人の楽し気で幸せそうな光景は、育の気持ちを激しく
叩きのめした。
3人が食事を終え、帰り支度を始めた頃、育は我にかえった。
とにかく景子たちの後をつけ、住んでる場所を特定しなければ、と。
彼らは公共の乗り物で来ているのか?
果たして、彼らは車で来ていた。
育はほっと胸を撫でおろした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は急いで先に駐車場の出口に向かった。
驚いた。
彼らが行きついた場所は、景子の実家に近い場所だったからだ。
景子が家に来なくなってから、彼女の実家にも足を運び
行方を尋ねていたのに。
景子の両親は、彼女が気分転換に離れた場所で暮らしたいと
出て行った、としか教えてくれなかった。
全く、どこが遠くなんだか。自分たちの目と鼻の先じゃないか。
ま、途中で戻って来たのかもしれないが、自分にはなんの
連絡もなかったわけで・・おまけに知らない間に孫までできて
いるというのに、俺には連絡もなし。
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