第16話 Goodbye Happiness

16.

" Encounter 遭遇 "

 

「ただね景子、てっちゃんは内臓に疾患があるようだし、本人も

言ってたけど今すぐどうこうじゃなくても70、80才と長生きできないかもしれない。そんでもって入籍したからって景子に生活みてもらおうとか

そんなことは考えてないからって」


 「そうなんだ。てっちゃんの病気、結構大変なことになって

るんだね。てっちゃんが退院したらこの子連れて行ってめっちゃ

元気出るパワーを御裾分けしてあげる」



 「てっちゃんもあの年だから、きっと喜ぶわ。

 形だけとはいえ、父親だもんね」


 私は実質6泊入院で7日めの午後に退院した。



       ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



 景子が俺の前から姿を消して2年が過ぎようとしていた。


 仕事で外回りしていて、某ショッピングセンターの中のフードコートに

入った折に、俺は景子を見つけた。


 彼女はひとりじゃなかった。

 子供と男性と、3人でいたのだ。


 驚いた。

 子供の顔を見て、一目で自分の子だと分かった。

 それほどその子は自分に瓜二つの容姿をしていた。


 しかし、一緒にいる年嵩のあの男は誰だ?


 育は男の存在に悩む。

 知らない人間が見たら3人は家族で、我が子の父親に見えてしまう。


 だけど、あの子は俺の子だ。

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