第12話 Goodbye Happiness

12.

" Goodbye Happiness お別れ "


 私はその月の末日まで、心を込めて育の身の周りのお世話をし

一度誘われた夜に最後のお別れMaking Love 。


 私は育には何も言わずだまってフェードアウトすることにした。



         ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 一旦、離婚という形を取ったオレと景子。


 上司とのことを問い詰めた時、一切言い訳をせず自分が許されないことをしたと謝罪してきた景子。


 景子からもぎ取るようにして読んだ彼女の携帯の中のメール。

 読んでみると、2度目から明らかに脅されていた形跡が残っていた。


 彼女は抵抗を試み、拒んでいた。



 あなたの心の中に上司との浮気願望があったのか? 否か? 弁護士から

問われた時、全くなかったと景子は答えている。


 いつもと同じ酒量だったと思うが、あの日は特別酔っぱらってしまった。



 ホテルに入るのも認識していたのに、上司を振り切ることができなかったのだから、自分の心の中に隙があったのだと思う、とも。


 弁護士は景子の前では口にしなかったが、後でこっそりと俺に

囁いた。



「奥さんはもしかすると薬を盛られていたかもしれません」と。


「女性を堕とすことを何とも思わない常習者の手口です。

恐らく間違いないでしょう。

 脅されて2度3度と相手のいいなりになって会ってしまったことは

残念ですが。ある意味奥さんも被害者と言えます。1度で済んでいたら

被害届を出すこともできたかもしれませんね」

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