第20話 ◇Visit 訪問 1
20.
◇Visit 訪問 1
この荒れ狂う気持ちの宥め方も見いだせないまま、俺は
本能の赴くまま、義両親の元を2年ぶりに訪ねた。
アポなしの訪問に元義両親は、俺のことを幽霊でも見るような
様子でものすごく驚いた。
「突然の訪問で失礼します。
少しお話させていただいてもよろしいでしょうか」
俺は応接間に通された。
「あれから僕は連絡をずっと待っていました」
「「……」」
「もう景子さんはこちらに戻って来られてますよね?」
俺の質問にふたりは顔を見合わせた。
「えっと、アノ……」
「僕は知ってるんですよ、景子さんがこちらのすぐ近所で
暮らしてること」
「えっ? あーあのっ、そっそうなの。
私ったら育くんに連絡もしないでごめんなさい」
ひたすら謝るばかりで、お義母さんは今景子がどんなふうな
暮らしぶりなのか、肝心なことは話してくれない。
お義父さんも口を固く閉じ、今にもこの部屋から出て行きたそうにしている。
「景子さんは今もおひとりですか? それともどなたかと……? 」
「あなた……」
お義母さんは隣に座るお義父さんに助けを求めた。
このふたりの煮え切らない態度を見ていて、やっぱり景子は
あの時の男と結婚したのか、はたまた婚約者くらいの位置づけなのか
その辺の何かしらの関わりのある人物なのかもしれないと思った。
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