第3話 Goodbye Happiness

3.

" Regrets 後悔 "



 「育くん、景子のしたことは謝ります。ほんとにごめんなさい」

  母親が夫に謝罪した。


 そして・・

 「わたしからもお詫びする、ほんとにすまない。

 お金で済むことではないが500万円慰謝料として用意させてもらうよ。

 これでなんとかこの先も、景子を君の側に置いてもらえないだろうか?

この通り頼むよ」

 父が彼に懇願した。


 「お義父さんもお義母さんも顔を上げてください。

 おふたりは何も悪くないのですから」



 「育、私・・育の言う通りにする。

 できれば離婚はしたくないけど。

 結婚前に貯蓄してあった預貯金を全部育に渡すわ。

 これで許されるとは思わないけどお金でしかお詫びできないから」


 両親は何も悪くないと言ってくれる夫に、私はできうる限りのお詫びを

申し出た。



          ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



 呪文のように『ごめんなさい』としか言えない私に夫の育は

上司から2度目に会うことを強要され脅された時にどうして自分に

相談してくれなかったのかと怒った。


 弁護士さんも2度目以降3回も会っているのでは、強姦罪に訴えても

流石に難しいだろうとおっしゃった。


 ほんとに言われる通りで、なんで私は馬鹿なことをしてしまったん

だろうと、酷く落ち込んだ。



 このあと、夫は弁護士を通して上司の石野をコテンパンに

やっつけたらしい。


 らしいというのは、夫から直接聞いたわけではなく、弁護士と両親が

話していたのをたまたま耳ダンボで聞いたから。


 有難いことに? 夫のお蔭で私は石野と相まみえることなく

そして彼からの脅迫を二度と受けることもなく、憂いなく夫への贖罪の

日々を過ごせることになった。


 

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