第5話 Goodbye Happiness 

5.

" Patience 忍耐 "



 私のほうも他人事ひとごとではなかった。


 結局復縁の可能性は残してくれたものの、夫は私と一度離婚して

今回のことに決着をつけると宣言してきた。


 異論を唱えられようはずもなく、私たちもほどなくして離婚届けを出した。

 そして私は実家に帰され、育との再出発を目指すことになった。


 私は育に『もう一度振り向いてもらえるように頑張るから、あなたの

身の周りのお世話はこのまま続けさせてほしい』と願い出た。


 夫のいない時間帯を見計らって食事、洗濯、掃除、諸々の雑用

などをこなす為、ほぼ育のいない平日は毎日彼の家に通った。


  育は前もって私に宣言していた。

 

「離婚したあと、俺が他の誰かと付き合うということもあり得るかも

しれないがそういうことがあっても、俺のところに通って来れるのか?」

と。



 私は答えた。


 「構いません。またあなたに振り向いてもらえるよう、頑張ります」

と。


 こんなふうに私は、育が他所で誰と何をしたとしても文句は言わないと

約束し、再構築を考えてもらえることになった。


 最低でも3年は頑張ろうと思い、育の気持ちが戻ることを

待つつもりでいたのだけれど。


 夫は前もって宣言していた通り、よその女性と付き合うようになった。


 しかも相手はあの憎んでも憎み切れない石野の元妻、さとみさんと、

だった。



 


 


 

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