第22話 ◇Visit 訪問 3

 22.

◇Visit 訪問 3


 

 まぁ、一度車で追跡して突き止めてはいるので、自力でどうにか

なるだろうとは思っていたのだが、ひとまず義両親から景子の現住所

やら電話番号を聞き出し、家を後にした。


 景子は実家に息子を預けて4時までのパートをしていると聞いた。


 そこで俺は金曜日になるのを待って家を訪ねた。

 もちろん、アポなし。


 義両親から連絡がいってるかもしれんが。



 インターホン越しに名乗った俺を、ドアを開け出迎えた景子は

狼狽えていた。

 小さな子が玄関先に一緒に出て来てた。



「こんにちは」


「こンにゃチわ」


 子供は恥ずかしそうにして景子の脚にくっついていた。


「久しぶりだね、ちょっとおじゃましてよい?

駄目ならその辺の店でもいいんだけど」



「上がってください、とっちらかっちゃってるけど」



 ダイニングに案内されたけど……俺は座らず立ったまま話を始めた。



「な、その子のせい?  俺の前からいなくなったのって。

それともさとみさんのせい? 」



 俺が椅子に座らなかったものだから、景子も俺と向かい合う形で

立ち尽くしていた。



「うん、さとみさんのことも了承していたのに、だんだんあなたを

彼女と共有するのが辛くなってきて……。

 息子はあのあとできた子だから、関係ない……」


 景子は少しの嘘を混ぜて答えた。


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