第26話 Goodbye Happiness (最終話)

26.

" Sense Of Loss 喪失感 "



 「一言誘えばホイホイホテルでもどこでも付いて来そうな

勢いでね。


久しぶりのモテ期で最初は楽しかったネェー。

でも分かったんだ。


さとみさんと君がいたから高みの見物でそういう状況を楽しめてた

ってことがね。


あの時、もうそろそろ、さとみさんとのことは、切らないと

って考えてた。その矢先のことだった、君がいなくなったのは。


俺もさとみさんも、あの時はお互いが必要だった。


 だけど時と共にお互い徐々に精神的にひとりで立ち直れるようになり、

気がつけば俺たち、自然消滅してた。


 それからあと、気分転換にいろんな女性の誘いに乗ったねぇ~。

 けどさ、俺の心の中にあった穴は埋まらなかった。


 まぁ、そんな感じで沸々とこの2年余り暮らしてたんだ。


 で、ある日仕事先で昼飯食うことになって、入った某ショッピングセンターで景子たち3人を見た時の衝撃と言ったらなかった。


 たぶん、あんな衝撃、後にも先にも、あれ一度切りだと思う。

 身体中、ビリビリ電気走りまくりだった。


 なんで?なんで? なんで?・・・

 景子と見るからに俺のミニチュアにしか見えない息子が、俺じゃない

男と仲睦まじくいるんだよぉ~ってね。


 激しい怒りでどうにかなってしまいそうだった。


 今こうして、君が奥さんとして、亮が息子として側にいるだろ? 

あの日のことを振り返ると奇跡のように思えるね。


 景子、俺のところへ戻って来てくれてありがとな」



 夫は息子の亮を抱っこして、私にそう微笑んだ。




Fin 



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Goodbye Happiness  設樂理沙  @manchikan

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