概要
泥水で口を濯ぎ、青年は立ち上がる
赤木 時雨。青年は理不尽を嫌っていた。
幼い頃にみた黒人奴隷の映画。あたりまえのように鉄の輪が人の首に絡みつき、鎖となって人権を縛る法律。人を人たらしめるはずのものが、人の背中を足で踏ませていた。その光景が、シグレという青年を生んだ。
剣と魔法の世界。だれもが憧れるようなファンタジーが待っていた。
ただ、それは表の話だった。
裏路地にたちよれば汚れた布を纏う少年。目を伏せて街道をあゆむ少女。怒鳴り散らされ、ぼろ雑巾になって横たわる青年。
だれかが歩く輝かしい世界は。だれかが描く素晴らしき世界はーー。
はりぼての裏に汚れた景色を隠していた。
魔法は使えない。
腕っぷしは立たない。
チートもなにもない。
色褪せた世界を変えるために。
青年は立ち上がる。
転生しても
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