第1話【タイムリミットは近付いている。】
実家の家族から「早く家から近い病院に転院しなさい」と急(せ)かされていた。
しかし、『障害年金の書類を作る事』を理由に、転院せずにいた。
現に書類を作るのに時間がかかっていたし、引き延ばしていた最大の理由は、何よりも美由が砂田医師に会いたがっていたからだった。
砂田病院は、実家から電車で5駅以上先にある病院だ。
「遠いから近くに転院して欲しい」という家族の気持ちも分かるが、美由は砂田医師の事を信用しきっていた。
そして、恋心も抱いていた──。
しかし…。
2021年6月7日(月)。砂田医師の診察後、ワーカーさんと一緒に年金事務所に行き、障害年金の手続きを済ませてしまった。
これで一段落し、後は結果を待つのみとなった。
そのため、砂田病院に通う理由が無くなってしまったのだ。
「次に行ったら、きちんと律の行っているクリニック宛(あて)に紹介状を書いてもらうのよ!」と、美由の母。
“こっちの気持ちも知らないクセに──!!”
“多分今美由を砂田医師から引き離してしまったら、心がもっと壊れてしまう…”
そう思うと、僕はとても怖く、不安だった。
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