第3話【彼女に似た子】

加配保育士の仕事は、「無知だったり普通の保育士では全く歯が立たない」と言っていいくらい、大変な仕事でした。

発達障害についての専門知識が無ければ全く出来ない──。


僕達の場合は、前任の保育士がとても有能でたくさん資料を残してくれていた事もあり、何とかなりましたが。



しかし…その子達と関わっているうちに気付いたのです。

“美由の小学生の頃に似ている”と…。



そして、発達障害の検査(WAIS-Ⅲ)を受けたのです。結果は──。



「デコボコがありますね」

デコボコ…。発達障害の検査(WAIS-Ⅲ)で「デコボコ」と言われれば、デコボコの差が大きければ大きいほど発達障害を疑うのが普通だ。


「『発達障害』…という事ですか?」

「それは、もっときちんと調べてみないことには…」

「きちんと調べたいんですが」

「きちんと調べるには、大学病院でしらべないと…」

「分かりました。もう、良いです」


当時加配としてフルタイムで働いていた僕達に、大学病院で発達障害かどうかをきちんと調べる時間など無かった。そのため、美由は「発達障害かどうか詳(くわ)しく調べるのは諦(あきら)める」と僕に告げたのだ。



そして病院を出る際…。

「ココにもう一度来る気がする。でも、私じゃない気がする──」

と言いました。



その9年後。

その予言は見事に当たりました──。

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