第2話【『死』を選んだ日~「僕がサポートするから」~】
「…ここは?生ぬるい。身体が重たい…」
美由でした。
「美由?美由なのか!?」
「あなたは?」
「あ…」
美由が僕の事を知るはずもなく。
「僕は拓也。中2の時から君の中に居るんだよ」
「中2?今は1年生の春じゃあないの?」
──美由は、中学入学の頃からの記憶を失くしていました。今は夏。雨が上がった直後だったため生ぬるい・中学入学から今まで体重が20キロ以上増えていたため身体が重たかったのでしょう。学力も、小学校卒業程度しかありませんでした。もちろん、高校での出来事も、妊娠し堕胎手術をした事も、今現在保育士である事も知りませんでした。
「私…死にたい!」
小学校卒業までの記憶や学力しか無く、保育士の専門知識が無い美由に「保育士やれ」なんて、あまりにも酷な話です。「死にたい」と口にするのも、当たり前だと思いました。
でも、中学2年生のあの時に死んでいたと思っていた美由が生きていた。
どうしても生きていて欲しかった僕は、
「僕がサポートするから」
と、伝えました。
「覚えてない高校の事や専門学校の事・就職してからの事も全て教えるから!僕が頑張るから!一緒に生きていこう」
そう伝えると、彼女も納得したようで。
「分かった。頑張ってみる」と言ってくれました。
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