第1話【24歳独身の雨男(1)】
演技を学んだアヤは一見最強でしたが、まだ苦手なものもありました。
それは『若い男性』。
美由は未就学児の頃、親戚の男性に強姦された過去があり、アヤがそのトラウマを背負っていたのでしょう。街中で若い男性を見ると、おびえてしまい、その時はよく僕が表に出ていました。
高校の入学式の日。新しい担任を席に着いて待っていました。席順は真ん中の列の一番前。それだけでも最悪でした。
“せめて女性の担任でありますように”──机に伏せってそう祈っていました。
そして扉が開き、僕達の前で靴音が止まりました。
「杉崎 浩次(すぎさき こうじ)です。24歳、独身です」
“終わった…”僕達はそう思いました。担当教科は体育。美由が消えてしまい、アヤが生まれるきっかけになった教科。
しかも、1番苦手な『若い男性』。
“この男から完全に心を閉ざそう”と、2人で決めた瞬間でもありました。
しかし事あるごとに話しかけてきたりしたため、しだいにアヤは心を開いていきました。
その出来事は後に書くので、今は割愛させていただきます。
僕が1度彼女を裏切ったため、杉崎先生が唯一生涯彼女が信用し続けている人物になると思います。
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