第5話【期待して…イイの?】

加配保育士の仕事も3月で止め、次は割烹料理屋さんの事務員として働く事になった。今回は希望すれば更新できたのだが、僕がこれ以上無知な保育士と一緒に働きたくなかったのだ。


『保育士が3月末で契約期間満了になり、今は割烹料理屋さんで働いています。お昼もやってるから、暇なら来てくれたら嬉しいです』

美由が久しぶりに正人さんにメールを送った。

美由は事務員という肩書きだが、人手が足らず、料理屋さんにも出ていた。



そしてある日…。

「まーくんに似てる気がする…」

「え?」

「『まーくん』って誰?」

「あ…元彼です。『ココで働いてる』ってメールはしたんですけど」

「キャー!元彼?」

他の従業員と正人さんの話をしていると、その男性は食べ終わり、レジに来ました。


「神崎さん、レジ!」

「はい!」

レジに行くと…。

「久しぶり。え?大丈夫?どうしたの?」

美由は、その場に崩れ落ちていました。

驚き・嬉しさ。言葉では言い表せない気持ち──。

「いや…。驚いたから…」

僕も、それしか言葉が出ませんでした。


「じゃあ、また」

「うん。また…」

そして会計を済ませた正人さんは、帰って行きました。



“会いに来てくれた。これって…期待して…イイの?”

美由のその言葉に、僕は黙るしかありませんでした。

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