第1話【私は家政婦か!?】

「まーくん。私、働きたいんだけど…」

「ダメだよ。倒れたらどうするの?」

「大丈夫だよ」

「ダメ!」

「──」


結婚前に勤めていた会社をやめ、また新しい職場で働きたかった僕達に、正人さんはとても厳しかった。

元々体が弱かったアヤから受け継いだ身体。美由に交代してからは『疲れたら横になる』事にしていたのでそんなに倒れてはいないのだが、正人さんは美由の両親から「学生時代によく倒れて救急車で運ばれていた」と聞いていたので、心配だったのだろう。


そうなると…美由の仕事は、家事のみとなる。

それが、美由には許せなかったのだ。


「時間をもて余すしストレスもたまる。私は家政婦じゃない!!」と、よく言っていた。

その割には、家事はまともには出来てはいなかったが…。

よく正人さんに、「これ、料理じゃない」とか「もっと掃除したら?」とか言われていたし。



それでも美由は、仕事をしたかったらしい。

何とか正人さんにOKをもらい出来た仕事もあったが、片手で数えられる程度で、期間も働いていた時間もそう長くは無かった。


「将来の子どものために、お金を貯めたいのに…」と、よく漏(も)らしていたものだ。

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