第4話【演劇部で演技を学んだアヤは、最強だった】

「小学生の時にドラマを見て、“こんな俳優さんみたいになりたいな”と思ったからです」

これは、『何故中学校で演劇部に入ったか?』と先輩から尋ねられた時に美由が答えた理由です。

まさかその数年後、彼女自身がそのドラマのようになってしまうとは──。



そのドラマは、解離性同一性障害をテーマにしたものでした。

「自分も将来、こうなる気がする…」

「自分も将来、こういう感じの隔離病棟に入る気がする…」

と、ふと小学生の時に美由が言っていましたが、2つとも当たりました。


本当に美由は、勘が鋭い。



美由が消えてしまい、アヤが表に出ている間も、もちろん生活はガラリとは変わりません。

なので、アヤも演劇部で演技を学び続けました。

演劇部の顧問はとても演劇熱が強く、しっかりアヤたちに演技を教えてくれました。


美由の演劇部の入部理由が『好きな俳優みたいになりたい』ならアヤは『人をだましたいから』。



ドラマのパロディーで傲慢(ごうまん)なお嬢様役を文化祭のクラス劇でやった時は、「すごく面白かった!」と、とても誉められていました。


美由も1年生の時に幽霊役をやりましたが、比べ物にならないほどでした。



そうしてアヤは、どんどん演技力をつけていきました──。

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