概要
一面識もない女の姿が脳裏に浮かんだ。それが悲劇と恐怖の始まりだった。
会社員の大谷雅彦は、街角で出会ったOLの沢口唯を「石原真央」と呼んでしまう。しかし、雅彦にとって唯が初見であれば、「石原真央」という女がどこの誰かさえ思い出せないのだ。やがて、雅彦の友人であり唯の職場の先輩でもある藤田早苗が何者かによって殺害される。鬱屈した人間の怨念と人智を超えた存在によって、雅彦は狂気に淵に立たされることになる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!目眩く緻密な曇天返しの 連続!
題名を見て《根源的な恐怖》を知る者は
ピンと来るかも知れない。但し、この
大御所は、ひと捻りもふた捻りも、更に
み捻りも加えて来る。
本作はミステリー色が特に強く、また
複雑な人間模様も物語に深淵を齎す。
人死にが出るが『犯人』は誰なのか?
先ずこれが非常に推理し辛い。さらに
驚かされるのが『動機』である。
既に相当なミステリーホラーであるにも
関わらず、そこから又しても驚かされる。
見知らぬ記憶、謎の女、歴史的な大災害、
閉鎖的な村での鬱屈、愛憎、復讐…。
結局あれは何だったのか。
人の思考の枠に到底納まり切らない
《大いなるモノ》から辛うじて逃れた様な
茫然自失の読後感は必至!…続きを読む