毎朝無人の駅にたたずんで「春を俟つ」美しいあのひとに僕は、恋をした。
春を俟《ま》っています――――
鶴のような真白の振袖をまとったそのひとは無人駅の端にたたずんで、いつも誰かの訪れを待っていた。誰を待っているんですかと訊ねた僕に、彼女は寒椿のような唇を綻ばせて「――春を」といった。
その冬、僕はたぶん、ゆきおんなに恋をした。
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毎朝無人の駅にたたずんで「春を俟つ」美しいあのひとに僕は、恋をした。
春を俟《ま》っています――――
鶴のような真白の振袖をまとったそのひとは無人駅の端にたたずんで、いつも誰かの訪れを待っていた。誰を待っているんですかと訊ねた僕に、彼女は寒椿のような唇を綻ばせて「――春を」といった。
その冬、僕はたぶん、ゆきおんなに恋をした。