冬来りなば、春遠からじ。だけど、雪景色は冬にしか見られない。

季節が移り変わっていく時、人は何かしらを感じ、心を揺らします。
多くは、時が巡れば忘れてしまうような些細なこと。
冬が厳しいほど、春が待ち遠しい。毎年のことです。

「春を俟つ」不思議な女性との邂逅は、凍える雪景色に光が射した時の燦きのようでした。
華やかな、みんなが待ち望む春には、見られないものでした。

例えその時感じたことを忘れてしまっても、また時が巡れば必ず思い出す。
過ぎゆく季節の淋しさと愛おしさを感じる、素晴らしい掌編でした。

その他のおすすめレビュー

陽澄すずめさんの他のおすすめレビュー2,271