心霊動画配信者の准とアシスタントの昇は、とある洋館を訪れた。そこはイベント会社の所有している事故物件であり、料金を払って【幽霊屋敷お泊まりイベント】に参加することができるのだ。屋敷内で不自然に感じるほど頻発する心霊現象に、起きてしまった凄惨な事態。果たして、真実はあの世とこの世、どちらにあるのか?
ホラーのテーマパーク、という印象を受けました! 何を書いてもネタバレになりそうでハッキリとは書けないのですが、物語には転換期のようなものがいくつもあって、それぞれの違ったエンタメ要素に引き付けられました。それが個人的に、テーマパーク内で「まずはこのアトラクション、次はあのアトラクション!」と、同じテーマに基づいた異なる演出を巡っていくような感覚に思えたのです。
准たちと一緒にお化け屋敷を進んでいるような恐怖感、やたらと起きる心霊現象への違和感、凄惨な場を前にした戦慄、人間への不信感。恐怖や疑念の対象は次々とシフトしていき、どんどん物語は進んでいきます。作中で、怖いものに対して「好奇心」や「刺激的」といった言葉が使われる場面がありますが、この作品のストーリー・ホラー要素が、まさにそれだと思います!
でも、こちらの作品がシフトするのはホラー方面ばかりではありません。明るさ、あたたかさ、優しさの感じられる要素も投入されてきます。それらからはドラマの気配が感じられて、今後の物語にどんなふうに影響するのか。とても楽しみです。
各種ホラーに笑いにドラマにと、様々な具材(エンタメ要素)が一緒になっているこちらの作品には、闇鍋のイメージも浮かびました。暗闇の中、とんでもない具材も入っている鍋を怖々、でもワクワクもしながらつつく。食べて、それがどんな食材でも盛り上がる。
物語はこれからもどんどん進んでいくところです。
追いつくなら今!
(※「第二夜・ビスクドール」の「スワンボート」までを読んでのレビューです)