主人公が冬の駅で出会ったのは、「春」を妹にもつ振袖の女性。たおやかな日本語で紡がれる、冬の精とのひと冬の物語。いつもながら透徹した日本語の妙に息を飲まれる、美しい物語でした。
にんげんがくるしむさくひんがすきです
私程度の読解力では一度読んだだけで全てを把握するのは不可能です。それだけ濃密で、それだけ文章が硬い。だから幾度も読み直しましょう。一度読めばストーリーが分かり、二度読めば描写の内容が分かる…続きを読む
美しい。実に美しい。『百舌鳥たちて 茅の繁みに わすれぶみ』(発句。脇句はぜひ、本作『彼女は春を俟っている』の中でお楽しみください)この和歌の作者は一体誰でしょう?小野小町でも紀貫之でも…続きを読む
季節が移り変わっていく時、人は何かしらを感じ、心を揺らします。多くは、時が巡れば忘れてしまうような些細なこと。冬が厳しいほど、春が待ち遠しい。毎年のことです。「春を俟つ」不思議な女性との邂逅…続きを読む
美しいと言う言葉に尽きる。洗練された筆致により描き——いや、削り出した描写の数々。そのどれもが艶やかで、粋。冬の持つ寒さや厳しさだけではなく、美しさや細やかさが表現されており、その一つ一つが…続きを読む
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