Jail Fragment

作者 木古おうみ

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72人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

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これは囚人たちの正確な記録ではない。

カウンセラーである「ぼく」が淡々と読者の前に示すのは、
科学的には不可能な、しかしなぜか理屈の通った事件の数々。

社会から隔離された囚人たちは不思議に魅力的で人間臭く、
語り手の「ぼく」の透明感と相まって、読み口が心地よい。

2000字に満たないものもある掌編集。
また次のページにどんな囚人が現れるか、楽しみでならない。

★★★ Excellent!!!

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狂言回しのカウンセラーこと『ぼく』から見た囚人たちの人間ドラマ。
一話完結型でストーリーも短くまとまっていて、よい心地の読後感を楽しむことができます。
個性豊かな囚人たちや、俯瞰的に物事を捉える『ぼく』。魅力的なキャラクターが多くて、シックなノリもあって面白いです!!
(漫画雑誌でいうところの、小学館のスピリッツやスペリオール的な印象があります)
是非、読んでみてください!
ハマるとじわじわきますw この面白さはwwwww

★★★ Excellent!!!

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とても不思議だ。はっきり言って、意味不明。よく分からない。
そんな力を持った囚人たちとカウンセラーの話。

当方、SCPの知識は全くなく、本作のあらすじを読んで軽く調べてみた程度なので、このレビュー自体意味不明なことになっているかと自覚しているが、思わず書きたい欲に駆られました。

囚人は、罪を償うよりも、彼らが持つ力による被害を減らすために収容されている。
囚人が犯罪を犯す、ではなく、囚人がいると被害者が出る。加害者がだれか分からない場合も、被害者が誰なのか分からない場合もある。
とにかく隔離しておこう、という感じです。

その力の発現理由も、力そのものが何であるのかさっぱりで。不気味。
ただその力による結果、それが囚人の個性のようなものに紐付いているようで。
力によって引き起こされる現象も関連性がある。
力そのものが何なのか一切分からないのだが、あぁそうくるか!そういうことか、と。
引き起こされた現象に納得に近いことをするけど、結局のところ何もわからん状態。

多くの囚人らとカウンセラーの会話。
もう、取り敢えず読んでほしい。読めばわかる。
この世界観に、どっぷり引き込まれます。

★★★ Excellent!!!

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とらえどころのない不気味さが、すごくいいです。
この世の歯車が少し狂ってしまったような、いわばエラーを隔離する施設。そこにいる人々の声が、一つ一つ拾い上げられます。
まずは一つめのエピソード「オーバーキル」だけでも読んでみて下さい。グッと来る方、けっこういらっしゃるのでは。

★★★ Excellent!!!

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私がそのツイートを見かけたのは偶然だった。互いをフォローしあったばかりの、どんな作品を書く方なのかもまだ知らない作者が、何気なく「こんな作品を思いついた」と呟いていた内容。僅か100字余りの文面で綴られたそのとんでもない着想に、私の目は釘付けになった。
「何度も爆弾を自作して爆破事件を起こしてるけど、犠牲者の死体を繋ぎ合わせると必ず実際の数よりひとり分多く見つかるし、その死体は第一次世界大戦の軍服を着ていたり原人としか思えない骨格をしているって謎の爆弾魔の話」――。
こんな予告を見せられて、興味を惹かれない者がいるだろうか。

そして、ツイートから2ヶ月足らずで、そのアイデアは現実に作品となって我々の前に現れた。科学では説明のつかない不条理犯罪を起こした囚人達の記録を淡々と綴る、この凄まじい出来のSF短編集となって。

その時代にあるはずのない死体を生み出してしまう爆弾魔。一度も引き金を引かずして同級生を皆殺しにする男。舞台で殺した筈の者達から無罪の嘆願書を送られ続ける魔術師……。数々の不可思議な事件で収監された者達の記録を、本作の語り手であるカウンセラーはひたすら収集しては我々に提示してくる。
本作が凄いのは、読者にさんざん謎を提示した挙句、結局何一つ解明しないことだ。世の中は訳の分からない不条理に満ちているのだと言わんばかりに、囚人達が起こしたとされる事件の真相は全て放り投げられ、後にはゾクっとした不気味さだけが残る。
「こんなことがあるはずがない。だが現実に事件は起きている。理屈は誰にも分からない」――。囚人達が収監されているのは、犯した罪を立証されたためではなく、何も分からないがとにかく本人を閉じ込めておけば事件は止まるだろうという期待に基づいてのことに過ぎないのだ。もはやそれ自体が一種の不条理事件である。

「SFは理屈が通っていなければならない」などと述べる向…続きを読む

★★★ Excellent!!!

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文章といい、世界観といいとても引き込まれます。
カウンセラーの「ぼく」自身が、様々な囚人たちと交流し、
彼らの思いや過去を知っていきます。
しかしながら、「ぼく」自身もどこか不思議な空気を漂わせているのです。
つかみどころがなく、異様で異質(もちろん良い意味で)な、
理由のわからない不気味さや不安感をそそられるとても面白い作品です。

★★★ Excellent!!!

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不可解な、超常現象と言っても過言ではないような殺人事件を起こした囚人たちの記録。
断片的に語られる彼らの話を、分析する訳でも、解決する訳でもないカウンセラー。
その「正式ではない記録」に残されるのは、得体の知れない怪物というよりも、得体の知れない現象と共存している人間の姿です。

一話一話が短いオムニバス形式のお話ですが、どのエピソードも非常に興味深く、読み応えがあります。
淡々とした語り口ながらも時折さらりと冗談を交える主人公が、危ういバランスの中に生きる囚人たちを、ギリギリのところで正気に繫ぎ止めている楔の役割を果たしているように感じました。

一度入り込んだら抜け出せなくなりそうな、不可解な事件の「原因を隔離しておく場所」。あなたも彼の手を取って、少し覗いてみませんか。

★★★ Excellent!!!

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 この物語は囚人達の物語だ。
 物語の中では様々な囚人が語られるものの、彼らは人の手では裁ききれぬ罪を抱えて監獄の中に閉じ込められている。
 存在しない被害者。途方もない善意と献身。立証し得ぬ手段。人智を超えた才覚。人間の為の法律では、これらの怪物的犯罪者を、本当の意味で裁くことはできないだろう。だからこそ、彼らのような怪物的犯罪者は今日もまた監獄の中に閉じ込められるしか無いのだ。そうするより他に、処理のしようが無いのだから。
 そう、この物語はいわばそんな怪物達を見学する為の監獄体験ツアーなのかもしれない。
 だけど気をつけて。
 この物語に魅入られる内に、貴方は檻の外へと出られなくなってしまうかもしれないから。

★★★ Excellent!!!

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 異常犯罪者を収監する刑務所を舞台に、囚人と話すカウンセラーを主人公にしたオムニバス。登場人物たちは基本的におとなしく監獄で過ごしており、淡々とした様がかえってリアリティがある。
 この異常犯罪者の「異常さ」が本作の読みどころで、彼らはそれぞれ変わった能力を持っていたり、どういう原理か原因も分からない不可解な現象を引き起こす。それは異能と言うより、怪奇現象のそれに近い。
 現在、最新七話まで読みましたが、自分はパパラッチの話が特に好きです。彼女の能力自体も面白いのだけれど、その「弱点」とそれが引き起こした出来事が実にドラマチック。それぞれの話のアイデアだけで、もっと長い小説がいくつも書けてしまいそう。
 どの話も短くて読みやすく、それでいて詰め込まれた内容はぐっと刺激が効いているので、読む時間に対して大変おトク! 一応各話は時系列などのゆるやかなつながりがありますが、多分どこから読んでもあまり問題ないのではないかと思います。
 気になったタイトルから開いてみてください、きっとそこには、少し不思議な、そして人生の悲哀もこもった奇妙な世界が広がっているはずです。

★★★ Excellent!!!

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 本作は「刑務所のカウンセラーと囚人の面談」という形で進む。基本的に登場人物は毎回、その話の主人公である囚人とカウンセラーだけだ。そして…この囚人達が毎回、どこかおかしい。ようするに「科学では解明できぬなにか」を秘めた存在なのだ。その上で、声を荒げて叫んだり、物騒な単語や罵詈雑言を喚き散らしたりはしない。ただ淡々と服役中である。そして、皆が残虐犯なのだが…その犯罪や行動の一部が、めくるめくミステリアスなのである。とてもウィットに富んだ、それでいて気持ちのいいもやもやかんばかり残してくれる短編連作…オススメです!

★★★ Excellent!!!

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内容も構成も文章も全てが完璧で憧れる。嫉妬する。
カウンセラーの男性の肩越しに奇妙な監獄の様子を覗き見させてもらっています。
素晴らしい作品が読めることに感謝を、そしてこのレビューを贈ります。