その解は求めない。原因を隔離し、記録するのみ。

不可解な、超常現象と言っても過言ではないような殺人事件を起こした囚人たちの記録。
断片的に語られる彼らの話を、分析する訳でも、解決する訳でもないカウンセラー。
その「正式ではない記録」に残されるのは、得体の知れない怪物というよりも、得体の知れない現象と共存している人間の姿です。

一話一話が短いオムニバス形式のお話ですが、どのエピソードも非常に興味深く、読み応えがあります。
淡々とした語り口ながらも時折さらりと冗談を交える主人公が、危ういバランスの中に生きる囚人たちを、ギリギリのところで正気に繫ぎ止めている楔の役割を果たしているように感じました。

一度入り込んだら抜け出せなくなりそうな、不可解な事件の「原因を隔離しておく場所」。あなたも彼の手を取って、少し覗いてみませんか。

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