一つの季節を精緻に描き抜いた傑作。主人公の心の扉に呼び鈴を鳴らすかのような冒頭から、白一色のはずなのに極彩色の華やかさが展開される情景描写、彼女の美しくも怜悧な様相。全てが完璧だ。 必読本作。
皆様今日は。昭和世代のおっさんです。 ファンとして(※以下、敬称略) 小説・エッセイなら京極夏彦、司馬遼太郎、田中芳樹、澁澤龍彦。 漫画なら荒木…
白絹の振袖をまとったひとは「春」を俟っていました。駅のホームで「僕」と「美しいひと」が会話します。その会話の内容も、人物と風景を描写される文章も、端麗な折箱に行儀良く並べられた上等な和菓子のよ…続きを読む
季節が移り変わっていく時、人は何かしらを感じ、心を揺らします。多くは、時が巡れば忘れてしまうような些細なこと。冬が厳しいほど、春が待ち遠しい。毎年のことです。「春を俟つ」不思議な女性との邂逅…続きを読む
美しいと言う言葉に尽きる。洗練された筆致により描き——いや、削り出した描写の数々。そのどれもが艶やかで、粋。冬の持つ寒さや厳しさだけではなく、美しさや細やかさが表現されており、その一つ一つが…続きを読む
主人公が冬の駅で出会ったのは、「春」を妹にもつ振袖の女性。たおやかな日本語で紡がれる、冬の精とのひと冬の物語。いつもながら透徹した日本語の妙に息を飲まれる、美しい物語でした。
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