追って、かきたてられて

 一から百まで言葉を芸術として駆使した至高の文学作品。

 『青』という色彩は、本作において涙でもあり愛でもある。だいいち、冒頭がもうすでに解放ではないか。老朽化した巨大水槽の崩壊などと。象徴という表現は控えめすぎる。破壊に基づく再生というのもいささか陳腐か。

 吐露。愛の結晶としての露を吐く。物理的には単なる事故だが、文学的には吐露だろう。

 そんな二人の関係は、彼女の死で一区切りとなった。聖書風に述べるなら、復活の前に死があった。

 人間としての死が、魚としての再生に至る……だけではない。骨壺というまことに現実的な、かつ日本的な代物を媒体(だろう、たぶん)にしたことで、本作はついに現実と幻想の融合を成し遂げた。

 舞台が四国の山中に至ると、のどかな農村が不穏なほど危うい秘密を共有していることが暗示される。過疎化や少子高齢化という、逃げ場のない生臭さがつきまとっていることも。

 そんな現実を背景に、主人公が地元の男性に感じる葛藤はいよいよ『青』に深みを与えた。

 こうして、彼女は完結したのである。

 必読本作。

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