第8話 結局、俺たちはただのオタク

「昨日の発表ビビったなー」


「解散と新グループ結成って、普通決まってても同時に発表したりしないよな」

「てか、新グループのプロデューサーがまさかの秋田大先生とはなー」

「マジびっくりしたな。」


「お前は、新グループ推す予定あんの?」

「まあ、みっちゃんいるし、秋田だからなー逆に推さない理由がないわ。お前はどうよ?」

「同じく。リナちゃん×秋田とか神グループ不回避」



 昨日の雨が嘘だったかのように、海と空が入れ替わったのかと思うほどの快晴の下、弁当を食べながら、長田と俺は、いつも通りの会話に花を咲かせていた。


 校庭で弁当を食べるというのは、屋上で食べる次くらいにリア充っぽいが、教室にいると、真面目に受験勉強している奴らに申し訳ないという気持ちで階段を降りて来たのだから、俺と長田はリア充とは程遠い。


 むしろ真逆すぎて、対偶なのではないかと思うほどだ。


「フフッ」

「なんだ?その悪の組織のリーダーみたいな笑い方」

「いや、俺たちもはやリア充と対偶まであるなと思って。」

「対偶?それじゃあ、俺たちはリア充になるだろ」

長田は真面目な顔で返す。


 「そこが面白いんだろ」

「それもそうだな」

俺と長田の笑い声が、重なる。


 「そういや、志田は新グループどうすんだろうな」

ひとしきり笑った後で、目尻の涙を拭いている長田に尋ねる。


 「昨日は何も言ってなかったな」

「志田の場合は、推しがいるってより、箱推しみたいな感じだったからなー」

「もう離れんのかな?」

「そうかもなー」



休み時間、昼休み、放課後とそんな話をして、少しは勉強してという日々がそれから一ヶ月ほど続いた。

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