第5話 回想(3年前)
長田と仲良くなって間もない頃。
街の図書館で高校入試のための勉強をしていた。
俺も長田もそんなに勉強しなければならないほどではなかったので、受験勉強とは言っても、学校の宿題をやったり、参考書をやったりとそんな風なものだった。
家から一番近い公立の普通校を受ける分には、誰だってそんなもんだろう。
そんな時、長田が、妙にまっすぐ並んだ何だか嘘っぽい街路樹を見ながら、鼻歌を歌った。
それは俺が先週CDを買ったばかりの曲だった。
俺たちの会話は、この瞬間に勉強とは明後日の方向に行ってしまい、十時くらいに図書館に来たのに結局昼になる前には図書館を後にし、西武新宿線山手線と乗り継いで、行きつけのアイドルグッズショップまで向かっていた。
そこで俺が長田に勧めたのがcolorfulだった。
当時は、大体のメンバーが中学生だったこともあり、よほどコアなアイドルオタク以外は知らないようなグループだったが、曲もメンバーのルックスもそれなりに光るものがあるというのはSNS上でも噂になっていたたし、何よりも一番身内にものすごく詳しい人がいたものだから俺は詳しく知っていた。
「今なら古参ぶれるぞ」
という布教の常套句と共に長田にCDを渡した。
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