其の一　青春幕開――、女子高生なのにタピオカを知らないと、恥をかく可能性があるので気を付けた方がいい

其の二　想い芽吹き――、一輪の黒百合が揺れて、晴天の青空にたい焼きが漂って

其の三　三度の起立――、人の恋路ほど甘い果実もないものだ

其の四　桃色推理――、いつの時代も情報弱者は肩身が狭いわけであって

其の五　無邪気罪――、たい焼きを食べ過ぎると、お尻から茶色い尻尾が生えてくるらしい

其の六　沸点越え――、「熱っぽいな」と思ったら、体温を測る前に想い人に連絡するといい

其の七　小悪魔子猫――、泣く子と地頭と幼馴染とはいくらやりあっても勝てないらしい

其の八　心憂吐息――、タメ息を吐くと幸せが逃げるというが、タメ息をやめたら幸せになれるわけでもない

其の九　恋慕炸裂――、巨乳は時として、そのままの意味で武器になる……、かもしれない

其の十　亜麻色想い――、夏虫の鳴き声が、時計の針を再び動かして

其の十一　思慕暴走――、コップいっぱいの恋は、例え溢れていても注ぐ手を止めることができない

其の十二　解呪師募集――、恋の病にかかったとしても、薬局でロキソニンは処方されないらしい

其の十三　奇天烈夜行――、「生まれた時代を間違えた」と悲観する必要はない、百年前に生まれたとしてもたぶん同じことを言っている

其の十四　炭酸飲料――、青春をあますことなく謳歌したところで、ビタミンを体内で生成することはできない

其の十五　不可解奇怪――、乙女の秘密は、大文字英数合わせて八ケタくらいのパスワードでロックした方がいい

其の十六　宵闇夢夜――、リアリティは、想像していたより何倍もくっきりとした輪郭で形どられている

其の十七　三色乙女――、「今でしょっ！？」……、今、らしい

其の十八　魔窟突入――、「ウソ吐き」に向けてウソを吐いたところで、およそ生産性のある会話は産まれない

其の十九　百億里眼――、攻略本がないとクリアできないＲＰＧなんて、やらない方がいい

其の二十　夕焼け焦がれ――、想いが橙色に染まり、記憶の声が彼の襟首を掴んで

其の二十一　群青音色――、恋の駆け引きとはよく言うが、楽しんでいる余裕があるあなたは青春の景色を忘れている

其の二十二　浮き足差し足――、空中をスキップしている友人を見かけたら、全力で止めに入ったほうがいい

其の二十三　偶然唖然――、人の運命は、大概が突然の邂逅によって定められる。意識しなくても人生は勝手に回れ右をする

其の二十四　現在過去系――、どんなに悲願しても過去には戻れないし、どんなに懇願しても今は勝手に過ぎゆく

其の二十五　七色乙女――、和娘がくるりと舞えば、手放しで誉めるのが相場というもので

其の二十六　射的大敵――、運命の弾丸は魔法の玉と化し、聖騎士が石畳の地面にコロリと転がる

其の二十七　光が咲いて――、疑問符は人の足かせとなり、リアルは物陰に鳴りを潜める

其の二十八　解夏吹雪く――、うだるような暑さは、しかし曇天模様など露知らず

其の二十九　青春輪廻――、人の気持ちなんて、しょせん人の気持ちでしか動かせない

其の三十　寂寞余韻――、突然は、突然でしかなくて、ハッとなった瞬間、それはもう突然とは呼べない

其の三十一　夏風ヒラリ――、水陸両用の戦車は、而して抱き寄せてみると驚くほど柔らかい

其の三十二　色恋暴挙――、恋は盲目とはよく言うが、猪突猛進を止める勇気なんて誰にもなかったりする

其の三十三　初恋上等――、タイトルに巨乳という字が入ってるラブコメなんて、およそ〇〇なのは明らかだったわけで

閉幕――、ハルカゼが夏に舞って、冬のアジサイが芽吹いた