幻光の詐欺師と桎梏の姫君

　レフは詐欺師として生計を立てる毎日を送っていた。彼の日課は奴隷市を覗くことだ。奴隷を買うためではなく、その境遇を見て、彼らのようになるまいと誓うためだ。
　その日も奴隷市に赴いたレフは一人の少女が売りに出されているのを見た。蜂蜜色の肌をした少女は奴隷でありながら超然としていて、レフはその異境からきた少女につい見とれた。帰ってからも頭から離れず、ついその少女に会いに行く。その時、心にもなく逃げることを提案するが、彼女はそれを拒否。それでもう会うことはないと思われた。
　しかし、明くる日、その少女が皇族に売りに出されることを耳にし、レフは自身の衝動を抑えかね、再び少女に会いに行き、少女も故郷へと帰りたいと願い、彼女をリェータと名づけ、ともに脱出。
　詐欺師と桎梏姫、二人の逃走劇が始まる。