第2話 創造神と魔法神

虹の鍵を拾った翠は自宅へと帰り、自分の部屋で母の帰りを待っていると眠くなってしまい、そのまま寝てしまう。翠が目を覚ますとそこは真っ白な空間が広がっていた


翠「…ここは?」


???「神界じゃよ」


翠「だ、誰!?」


???「わしは創造神ゼロじゃよ」


…創造神ゼロ?…創造神??


ゼロ「翠よ。君は選ばれたのじゃ」


翠「…選ばれた?」


…どういうことだ?


いきなり現れた白髪の男を怪しいと思いながらも現状を把握するために創造神ゼロと名乗った人物に疑問を投げかける


翠「…それはどういうことですか?」


ゼロ「君は最近虹色の玉を見つけたじゃろ?」


翠「虹色の玉……あ、あれのことか!!…見つけましたけど…」


ゼロ「あれは神玉といってこの世に1つしかないとされる貴重な玉なのじゃ」


このとき翠は神玉とは何なのかという疑問よりもこの世に1つしかないという事実が衝撃を与えていた


翠「この世に1つですか!?」


ゼロ「そうじゃ」


翠「なんでそんな貴重なものがあそこに?」


ゼロ「…そ、それは…」


???「それは私から説明するわね」


真っ白な空間からいきなり金髪の巨乳美女が現れた。まるで天使のようなその容貌に翠は驚いていた


???「はじめまして魔法神のソフィアよ」


ソフィア「よろしくね翠くん」


翠「あ、はい。よろしくお願いします?」


なんか次々と知らない人が…


ソフィア「ふふふ、そんなにかしこまらなくていいのよ」


翠「えっと…」


いきなり現れた美女に困惑していた翠だったが、ソフィアが先程の説明をする前に何か聞きたいことはあるかと聞く


翠「そういえば…なんで自分の名前を?」


ソフィア「君は神界で有名人なのよ」


僕何の変哲もないただの高校生なんですけど…しかも何で僕の知らない所で有名になってるの?…それに神界?


ゼロ「あの〜」


ソフィア「あんたは黙ってなさい!!!」


ゼロ「…はい」


何故か創造神ゼロが魔法神ソフィアに睨まれ話すことが許されていない状態だった。何やら異様な雰囲気に慌てた翠は話を変えるためにソフィアに先程の話の続きを促した


翠「それで先程の話に戻るんですが世界に1つしかない?貴重な玉がなんであそこにあったんですか?」


ソフィア「そうね。まず何故あそこに神玉があったのかなんだけど、それはね…このクソジジイが誤って地球に落としてしまったからなの…」


翠「………え?」


…クソジジイって


翠はゼロが神玉を落とした理由も気になっていたが金髪美女のソフィアがクソジジイという言葉を口にしたことに驚いていた。翠が驚いて黙っているとソフィアが理解していなのかと考え、もう一度翠へ事のあらましを話そうとする


ソフィア「クソジジイが誤って地球に落として…」


翠「も、もういいですよ。それは分かりましたから…」


ソフィアさんが見た目に似合わず恐ろしい人だということが


ソフィア「理解が早くて助かるわ。そしてそれに焦ったこのクソジジイは急いで神玉を落とした場所を探していたら、君が手に神玉を持っていたというわけ」


翠「なるほど…でもなんでそれが創造神様が焦ることに繋がるんですか?」


ソフィア「あれはね死の玉とも呼ばれているの…」


…死の玉?


ソフィア「あれは人間が持つと一瞬で砂になってしまう恐ろしいものなの」


翠「え⁉︎あの玉触ると砂になってしまうんですか?自分触れましたけど…」


ソフィア「理由はわかっていないの…それに神玉の方じゃないわよ」


翠「ん?神玉じゃない?」


ソフィア「砂になるのは人の方なのよ…」


翠「えぇぇぇ〜〜!?!?」


ソフィア「それほどあの玉は危険なものなの」


実際あの玉はこの世のどこを探しても1つしかない。どこから生まれたのか?誰が作ったのか?何の意味があるのか?それら一切がまったくわからない状況であった。それに加えて人間が触れると人間が砂になってしまうため厄災扱いされていた。そのため禁忌である異世界干渉を特例として認め、創造神が他の神々と協力してこの神玉を回収したのである。だが神達も使用することができず、情報も一切わからないため扱いに困っていたのである。


ソフィア「その代わりに適合すればもの凄い力を手に入れることができると言われているの」


翠「ん?…言われている?」


ちなみにどんな力が手に入るのだろうか…


ソフィア「誰もあの玉を使えたことがないのよ。それに私達もあの玉にどんな力が宿っているかまったくわかっていないの。それであの玉はどうしたの?」


…あ、ヤバイかも


翠「あ…え〜と…その…」


歯切れが悪い翠を疑問に思いながらソフィアが翠へと疑問を投げかける


ソフィア「どうかしたの?」


翠「…ここに来る前に神玉を落として割ってしまったんです…すみません」


翠はそんな貴重なものを自分が割ってしまったのかという罪悪感とそれがいくら程の価値なのかを考えると冷や汗が止まらなくなっていた


ソフィア「割れた!?そんなわけ…だってこのクソジジイが落としても割れなかったのよ?」


…た、確かにそう言われてみれば


ソフィア「貴方には私達にもない何か特別な力があるのかしら?…でも」


ソフィアがそういうと翠をじっくり観察するが特におかしなところはなく至って平凡にしか見えなかった


ソフィア「何か体に異変が起きたり、変な出来事が起きたりしなかった?」


…異変…出来事…あ!


翠「そういえば…虹色の鍵が入ってたのとなんかゲーム画面のようなウィンドウが表示されるようになりました」


ソフィア「虹の鍵とウィンドウ?というものが現れたのかしら?」


翠「はい」


ソフィア「ウィンドウというものが何かはわからないけど、虹の鍵ってもしかすると…」


ソフィアがウィンドウが何かはわからないが、虹の鍵については何か知っている様子で、独り言のように小さい声で呟いたため翠へ伝わることはなかった。


翠「しかもウィンドウには読めない文字が書いてあるんですよね…」


ソフィア「私には何も見えないからなんとも言えないわね…もしかしたらそれ異世界の言語なのかも?」


翠「い、異世界の言語ですか?それにしてもやっぱり異世界って存在したんですね…本の世界でしか知らなかったので…」


神様とかいるし…あの玉だって異世界から持ってきたものだもんね…


普通なら異世界が存在すると言われただけで、全世界がパニックもしくはその情報だけで世界のテレビニュースや新聞がその話で、もちきりになる程である。だが、翠は虹の玉がいきなり落ちてきたり、神様に会うことで驚くことに多少慣れてきてしまっていることや事実として目の前に神々や神玉といったものが実在しているため信じざるおえなかった。


ゼロ「あの〜…ちょっといいですか?」


ソフィアと翠が虹色の鍵やウィンドウについて話していると横から創造神ゼロが話をしたそうに割り込んできた


ソフィア「…」


ソフィアは当然ゼロを無視し、鋭い目つきで睨んでいた


ゼロ「…お願いじゃ」


ゼロが泣きそうな悲しい顔をしながら、わしにも喋らせてほしいという目でソフィアを見ていた。ソフィアはそれを見て…しょうがないわねと考えゼロに喋る許可を与えた


ソフィア「はぁ…どうぞ」


ソフィアからようやく話す許可をもらったゼロは何事もなかったかのように元気よく話を始める


ゼロ「よし話は戻るぞ!!翠は虹の玉を拾い、偶然ではあるが中に入っていた虹の鍵を手に入れたと…すると翠の目の前にはゲーム画面のようなものウィンドウ?が現れるようになったそれであってるかのう?」


翠「はい」


ゼロ「…ん〜……先程から話を聞いていて思ったのじゃが、どうじゃその件も踏まえて、一旦異世界に行ってみるというのは?」


翠「な、なんでですか!?異世界!?あまりにも急すぎます!」


なんでいきなり異世界に行かされることになるの?…まぁ行ってみたい気持ちはあるけどお母さんのこともあるし


ゼロ「理由は2つじゃ。1つは今の我々でも翠に起きている謎を解くことができないのじゃ、なにせ今まで封印が解かれることがなかったから何もわからんのじゃ。それについて調べる必要がある。そして2つ目はお主は死んだことになっているから戻る器がないのじゃ…」


翠「……え?」


ゼロ「今話せているのは翠の魂をこの神界に呼び寄せたのだからじゃ」


…どういうことだ…じゃあ僕は死んだことに?


翠は創造神ゼロに死んだと宣告されたことも重要ではあったがそれより残された母親のことが心配でならなかった


翠「か、母さんは?母さんはどうしてますか!?」


ゼロ「問題なく生きている……じゃが疲れきっている様子じゃな…」


…そんな


翠「どうにかならないのですか!?」


ゼロ「今は無理じゃ。でも方法は1つある」


翠「なんですか!?」


ゼロ「君が異世界で何らかのスキルを手に入れ、君に現れている何らかの能力を理解し、使いこなせるようになって地球に戻ることじゃ」


だが、異世界から異世界への転移など実際可能性としてはないに等しい。莫大な魔力と何十人もの犠牲を払ってようやくできる儀式である。それこそ大国が念入りに計画を立て用意しなければいけないほどに…


翠「…か、神様の力でどうにかならないのですか?」


ゼロ「…すまぬ。神は基本世界に干渉できないようになっている。今回は翠の魂が彷徨っていたのでこちらへ呼び寄せられたのじゃ…わしの落ち度でこんなことになってしまい申し訳ない…」


ゼロがそういうと翠に向かって頭を下げる。それに対し行き場のない怒りから本音が溢れる翠


翠「………クソッ!」


ソフィア「男だったらしっかりしなさい!!」


行き場のない怒りに思案を巡らせている翠に対し怒号のような声が届く

 

翠「え?」


え………なんで俺が怒られてるの?と考えたが怖いので言うのはやめておこう…


ソフィア「確かに、このジジイに責任はあるけど、もう終わってしまったことを考えてもしょうがないわ…お母さんのもとに戻るんでしょ?ならできる事をやって早く戻れるように頑張りなさい」


…そうだよな…ぐじぐじしたって戻れないんだったら出来ることやって早く母さんのところに戻るほうがいいに決まってるよね…


翠「…はい。僕頑張ってみます」


ソフィア「よし‼︎あ、このジジイはちゃんと教育しておくから安心して」


え…教育?


ゼロ「いやだぁぁ…誰かぁぁ」


…ご無事で…


行き場のない怒り抱いていた翠であったが、ソフィアのゼロへの対応を見て怒りはどこかへ行ってしまっていた


ソフィア「じゃあ異世界に飛ばすわね」


翠「ち、ちょっと待ってもらっていいですか?」


ソフィア「どうしたの?」


翠「母親に手紙かなんか送れないですか?」


翠は異世界に飛ばされることよりも、現実世界に生きる母親のことがどうしても気になっていた


ソフィア「それぐらいなら問題ないわよ。ただ君がどこにいるかとか何してるかはわからないようにしてね。世界のバランスや調和を崩してしまう可能性があるから他言無用でお願い」


そりゃそうだよね。異世界なんてあるってわかったら大騒ぎだしね…


翠「わかりました。あと異世界から母親にお金とか送ることって流石にできたりしないですよね…」


ソフィア「それぐらいだったらいいわよ。こちらの不手際で起こったことだしね…スキルやステータスは付与しようと考えてたから、ついでにそのスキルもつけてあげるわね」


…いいんだ


翠「ありがとうございます」


ソフィア「君にはその鍵があるからもっと凄い力が手に入るはずよ」


翠「はい。頑張ってみます」


そうは言うけど…この鍵は一体何に使えるんだろうか…


ソフィア「じゃあ行ってらっしゃい!」


翠「はい!」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「お母さんへの手紙」  

母さんへ 

僕がどこにいるかは言えないけどしっかりと生きています。すぐに戻るので心配しないでください。そのうち何か送るので、それで豊かな生活を送ってください 翠より

ーーーーーーーーーーーーーーーー


ソフィア「行ったわね…」


ゼロ「母親思いのいい子じゃの」


ソフィア「そうですね…さて教育を始めますか」


ゼロ「………え?きゃあぁぁぁ」


神界中にゼロの悲鳴が長時間響き渡っていた。少し時間が立つと神界にはいくつかの人影が現れた


???「あれゼロじいちゃんなんでのびてんの?」


???「ソフィアの仕業でしょ…」


???「それよりあの子は?」


???「え〜僕の能力あげたかったのに…」


???「またそのうち会えますわよ」


???「、、、」


???「そう。ならいいの」


???「俺様の弟子にしたいなぁ」


???「………暑苦しいぞゴリラ」


??? 「喧嘩はやめてよ!!」


         第2話終わり

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