第18話 帰宅
レリックの店長マリ婆から、異世界伝記を譲り受けた翠は、用事も済んだため屋敷へと帰宅した。既に他の使用人は帰宅したあとだった
翠「ただいま〜」
使用人「おかえりなさいませ!」
使用人達はみな翠が帰るのを知らされていたかのように、扉の前で待機して、翠を待ち構えていた
翠「ごめんね。遅くなって」
翠「じゃあ早速だけど皆何購入してきたのか確認しようか」
使用人達「はい!」
家事担当の班が何を購入したか確認する翠
家事担当の執事達は使用人の服、予備を合わせて1人3着ほど購入し、翠の服を10着程、他にお皿やコップなどの日用品を購入していた。自分の服の多さに驚いていたが、主人なんだから複数の衣装を持っていて当然だと押し切られてしまう翠
翠「わかった。何か足りないものがあったらまた報告して。じゃあ次、イヴァンのグループはどんなのを買ったの?」
イヴァン「はい!」
イヴァン達は剣や盾、防具などを騎士団の人数分と予備をいくつか購入し、預かっていたお金の大半を防具や武器に使ってしまっていた。そのため翠がいくら好きに使って良いと言ったとはいえ、不安に感じていたイヴァン
翠「全然問題ないよ。お金足りなかった?」
イヴァン「いえ、予算に結構余裕があったので少しいい素材のものを買わせて貰いました!」
翠「それでいいよ。命は大切だからそれを守るためには良いものを使わなきゃね」
イヴァン「はい!ありがとうございます」
アリア「ちなみに翠様はどのようなものを購入されたんですか?」
カレナ「翠様これは私から説明してもよろしいですか?」
翠「うん?じゃあお願いしようかな」
カレナが自分達の班が購入した物を、カレナの口から言いたいと自ら言い出したことに翠は疑問に感じたが、断る理由も無かったためカレナに説明を任せた
カレナ「みなさん。聞いてください」
真面目な顔をするカレナに皆が注目した。翠は何故そんなに真面目な顔をするのかわかっていなかった。カレアの案内のもと家具が売っているお店に行き、そこがたまたま別の家具の敷居が高いお店が移転してきた後だったことを説明する。ここでアリアやミーナ、イヴァンなど察しのいいものは感づいてしまった
アリア「!」
ミーナ「!」
イヴァン「!」
カレナ「はい。何人かの察しのいい人はお気づきかもしれませんが、ワタシたちはそこで家具を購入しました。しかも大量にです」
アレクサンダー「それの何が問題なんだ?」
アルバート「アレクサンダーが言うのはムカつくけど確かにそうね。このお屋敷は広いし陛下たちを呼ぶなら結構な数が必要になるんじゃない?」
カレナ「はい。家具の方は別に問題ないんです。値段は高いですが、それなりに数は必要ですから」
奴隷たちはみな頷く
カレナ「問題はこのあとです。家具を購入したあと寝具を購入しに行きました」
カレア「そこはカレナの案内だよね!」
カレナ「はい。私も昔に行ったときとは違い、外装が変わっていました…そこで翠様の寝具を選ぶまでは良かったのですが、何故か私達の寝具も購入することになってしまいまして…」
皆「!」
カレナ「はい。私達の寝具も翠様と同じ店の寝具を買うことになったのです…」
翠「うん。そうだね」
アルフ「それは本当ですか翠様!?僕達は使用人とはいえ奴隷ですよ!?」
アリア「そうですよ!!」
アレクサンダー「これっておかしいことか?」
アルバート「あんた馬鹿!?どこの世界に主人と奴隷が同じベットで寝れるっていうのよ!!」
どんなに待遇が良い奴隷でも主人と同じ寝具で寝ることなどあり得なく、最低ランクの寝具、正確に言えば寝具と言えるかどうかもわからないものが与えられる程度である。この世界の奴隷への対応はとても荒んでいるため、これらの対応でも奴隷としては幸福な部類に含まれるだろう。この国は王家の法で、奴隷への暴力禁止や衣食住を保証しているため最低限生きることは可能である。だが他国では食事を与えない、寝床を与えない軽いものから拷問、恥辱、しまいには殺人などさらに酷い扱いを受ける場所もある
翠「ここにいるって!!僕はそういう偏見とかないから‼︎でも…そんなに変かな……」
全員首を曲げて頷く
翠「まぁ良いじゃん!もう買っちゃったし…それにイヴァンには言ったと思うけど、僕はこの国の人間じゃないからこの国の常識は知らないんだ。だからまぁ普通に接してくれればいいよ」
会話が終わると同時に寝具が屋敷へと届き、皆で机や椅子、ベットなどの運搬が始まった。そしてその日は皆、あまりお腹も空いていない上に日も暮れてきたため、各自部屋で過ごす事になった。そして初めて自分の部屋を与えられた者、初めてフカフカのベットで寝られた者達は、涙を流しながら寝ていた。アレクサンダーはそんなことを気にせず爆睡していた。翠は自分の部屋に行き、寝る前にピーに言われた通り、自分のスキルを確認することにした
第18話終わり
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